北陸トンネル

北陸トンネルの概要と歴史

北陸トンネル（ほくりくトンネル）は、福井県敦賀市と南越前町に跨る複線鉄道トンネルです。ハピラインふくい線の敦賀駅から南今庄駅の間、木ノ芽峠の直下に位置し、1962年6月10日に開通しました。このトンネルは、総延長13,870メートルを誇り、日本の狭軌在来線で最も長い陸上トンネルであり、1972年に山陽新幹線の六甲トンネルが完成するまで、日本で最も長いトンネルでした。なお、本記事では、並行して存在する北陸新幹線の新北陸トンネルについても触れていきます。

開通前の交通状況

北陸トンネルが開通する以前、敦賀と今庄を結ぶ区間には鉢伏山と呼ばれる762メートルの山がそびえ、その鞍部である木ノ芽峠は古くから交通の要所でした。この区間では、海岸付近を通る杉津駅を経由した山中峠ルートが採用されており、急勾配と複数のスイッチバックがある状態でした。このため、輸送効率が低下し、頻繁に列車の待機や行き違いが発生していました。そのため、1962年のトンネル開通は、北陸本線の重要なボトルネックを解消することが期待されていました。

トンネル工事の計画

1950年代には、いくつかの候補となる改良案が提起されましたが、最終的には今庄から敦賀の間を一本のトンネルで掘削することが決定しました。1957年に工事が始まり、途中で発生した地盤問題や出水の影響を受けながらも、1961年にトンネルが貫通し、1962年にはその完成を迎えました。

開通後の影響

北陸トンネルの開通は、当時の高度成長期と合わせて話題を呼び、沿線住民や利用者に新たな交通の利便性を提供しました。旧線に比べて複線化されたことで、輸送力や速度が大幅に向上し、今庄駅は急行通過駅となる一方、周辺の人々には大きな変化をもたらしました。

また、トンネル開通を記念して、郵政省から10円の記念切手も発行されました。トンネルの開通によって、重要な鉄道連絡が実現し、沿線地域の発展にも寄与しました。2021年の時点では、北陸本線は北陸地方と関西・中部地域を結ぶ重要な大動脈として機能しています。

近年の動向

北陸トンネルは2024年に新ルートの新北陸トンネルが開通予定で、さらなる発展が期待されます。また、電化区間の変更やトンネル保守作業も活発に進められ、通信インフラの整備やマイクロ水力発電の実証実験など、新しい技術の導入も行われています。

旧線の現状

旧北陸本線の跡地は現在、道路として整備されていますが、一部には記念碑が設置され、歴史的な価値を保存しています。旧線沿いの施設の一部は観光資源としても活用されており、その歴史を感じられる場所となっています。

結論

北陸トンネルは、福井県の交通事情を一変させた重要なインフラであり、今後もその役割は大きく期待されています。技術の進化と共に、新しいトンネルが開通することでさらなる利便性が向上し、地域の発展に寄与するでしょう。

もう一度検索