十万石まんじゅう

十万石まんじゅう：埼玉県を代表する銘菓

埼玉県行田市に拠点を置く株式会社十万石ふくさやが製造する『十万石まんじゅう』は、同社の看板商品であり、埼玉を代表する和菓子として広く知られています。戦後、砂糖の流通が再開された1952年（昭和27年）に発売開始された比較的歴史の浅い銘菓ですが、その独特の風味と、著名な芸術家との関わりから、現在では県内外問わず多くのファンを魅了しています。

戦後の歴史と忍藩の伝統

十万石まんじゅうは、太平洋戦争終戦後の1952年、行田市の菓子店「福茶屋」によって誕生しました。江戸時代に行田にあった忍藩の石高「十万石」にちなんで名付けられ、地元行田の名物にしたいという強い想いが込められています。その後、1960年（昭和35年）に「福茶屋」は株式会社十万石ふくさやを設立し、社名も「十万石」へと改めました。

素材へのこだわりと伝統の製法

十万石まんじゅうの特徴は、何と言ってもその素材と製法にあります。北海道十勝産の小豆を使用したこしあんは、上品な甘さと滑らかな舌触りが魅力。皮には奈良県葛城山産のつくね芋と新潟県魚沼産コシヒカリを使用し、米粉を多く使った生地は、つくね芋と米の風味豊かな、柔らかく上品な口当たりが特徴です。創業以来変わらぬ製法で、一つ一つ丁寧に作られています。

白く柔らかな皮には「十万石」の焼印が押され、その見た目もまた、上品で伝統的な和菓子の風格を漂わせています。小ぶりなサイズ感も、食べやすく、お土産として購入しやすい点として人気です。賞味期限は5～6日と比較的短く、出来立ての美味しさを味わえるのも魅力です。

著名な芸術家との関わり

十万石まんじゅうを語る上で欠かせないのが、版画家棟方志功氏との関わりです。棟方志功氏は、十万石まんじゅうを食し、「うまい、うますぎる！」と絶賛。この言葉は、現在も十万石まんじゅうのキャッチコピーとして使用され、テレビCMでも用いられています。CMでは、野田圭一氏や市川由紀乃氏など著名なナレーターが起用されており、埼玉の視聴者には馴染み深いものです。

十万石ふくさやは、棟方志功氏の作品を包装紙などに使用しており、芸術性と伝統が融合した商品作りを行っています。

販売と種類

十万石まんじゅうは、埼玉県内を中心に、直営店や百貨店、駅ナカ商業施設などで販売されています。また、通信販売でも購入可能です。定番の十万石まんじゅうに加え、紅白まんじゅう（祝事用）、青白まんじゅう（弔事用）、そしてゲーム『ドラゴンクエストウォーク』とのコラボ商品である「10万ゴールドまんじゅう」など、様々なバリエーションがあります。

登録有形文化財

行田本店の店舗は、土蔵造りの美しい建物で、2007年には国の登録有形文化財に登録されました。歴史ある建物で、伝統の味が生み出されています。

まとめ

十万石まんじゅうは、素材へのこだわり、伝統の製法、著名な芸術家との関わり、そして歴史ある建物など、多くの魅力が詰まった銘菓です。埼玉県を訪れた際は、ぜひ一度味わってみてください。

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