千垣駅

千垣駅

概要

千垣駅は、富山県中新川郡立山町千垣に位置する、富山地方鉄道立山線の駅です。駅にはT53の駅番号が付与されています。立山連峰の山々に囲まれた、豊かな自然景観の中に佇む静かな駅であり、地域の生活や周辺地域へのアクセスを支える役割を担っています。

歴史

千垣駅の開業は、1923年（大正12年）4月20日に遡ります。この時、駅は富山県が運営していた鉄道（後の富山地方鉄道立山線の一部）の終着駅として誕生しました。地域における鉄道交通の起点として、重要な機能を果たしていました。開業からしばらく経った1937年（昭和12年）10月1日には、路線が延伸され、終着駅ではなく粟巣野駅（現在は廃駅）までの区間における途中駅となりました。その後の運営にも変化があり、1942年（昭和17年）6月1日には、千垣駅から粟巣野駅までの区間が日本発送電に譲渡されるという経緯をたどります。現在の運営主体である富山地方鉄道に所属することになったのは、戦時体制下の交通統合が進められた1943年（昭和18年）1月1日のことでした。長らく地域の駅として利用されてきましたが、近年は駅の体制にも変化があり、1997年（平成9年）8月1日には駅員が配置されない無人駅となりました。

駅構造

千垣駅は地上駅であり、線路に沿って設けられた単式ホームを1面1線有しています。これは、ホームが線路の片側に一つだけ配置されているシンプルな構造です。現在、駅には駅員が常駐しておらず、乗車券の販売や改札業務などは行われていない無人駅として運用されています。特筆すべきは、開業当時からと思われる木造の駅舎が現存していることです。長い歴史を経てきた駅舎は、かつての鉄道が地域の暮らしに深く根ざしていた時代の面影を残しており、趣のある佇まいを見せています。駅舎内には待合スペースが設けられており、列車の待ち時間などに利用されています。

利用状況

近年における千垣駅の利用状況を示すデータとしては、立山町が発行する「統計たてやま2020」に掲載された情報があります。これによると、2019年度の1日平均の乗降人員は118人でした。この数値は、都市部の駅と比較すれば決して多くはありませんが、周辺地域の人口規模や立地条件を考慮すると、地域の生活を支える鉄道駅として、また観光・信仰目的で訪れる人々にとって重要な交通手段としての役割を果たしていることがうかがえます。

駅周辺

千垣駅の周辺は、立山連峰の麓ということもあり、豊かな自然に恵まれた環境です。駅前には、立山町営バスの「千垣駅前」停留所が設置されています。このバス停留所は、鉄道とバスを乗り継いで周辺地域へ移動する際の重要な結節点となっています。特に、立山信仰の中心地として知られ、多くの歴史的・文化的施設が集まる芦峅寺（あしくらじ）地区へのアクセス手段として利用されています。芦峅寺地区には、立山修験道の拠点である雄山神社中宮祈願殿（芦峅雄山神社）や、立山町の歴史、民俗、自然などについて総合的に学べる富山県立山博物館などの主要な施設があり、これらの施設を訪れる際の最寄り駅の一つが千垣駅となります。駅周辺には目立った商業施設は少なく、のどかで静かな雰囲気が漂っています。

隣の駅

富山地方鉄道立山線における千垣駅の隣駅は以下の通りです。

* 普通列車をご利用の場合：横江駅 (T52) - 千垣駅 (T53) - 有峰口駅 (T54)

なお、富山地方鉄道のアルペン特急や特急列車は千垣駅には停車せず、通過扱いとなります。

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