千葉市美術館

千葉市美術館について

千葉市美術館は、千葉県千葉市中央区に位置する美術館で、1995年11月1日に開館しました。2020年にはリニューアルオープンを果たし、さらに魅力的な施設へと進化しました。この美術館は、「豊かな心と創造性をはぐくむ市民文化都市」を目指す千葉市の取組の一環として設立されました。

美術館の設立と歴史

千葉市美術館の設立計画は1982年に始まりました。1989年には有識者による懇談会が設立され、翌年から本格的に作品収集が始まりました。5年の準備を経て、1995年に開館が実現しました。美術館は、歴史的なネオ・ルネサンス様式の建物を利用しており、もともとは1927年に建設された旧川崎銀行の千葉支店です。市民の保存運動により、部分保存が決定され、設計者の大谷幸夫によって「さや堂方式」が取り入れられました。この方法により、新ビルが旧銀行を覆い、さや堂ホールが設置されました。総工費は約160億円に達しました。

初代館長には辻惟雄が就任し、開館記念展として大英博物館との共催で「喜多川歌麿展」を開催しました。その後も、小林忠、河合正朝といった日本美術史の専門家が館長に就任し、江戸絵画や現代美術に焦点を当てた展覧会を開催しています。

2000年度末の時点で、美術品の取得原価は66億円に達し、寄託品は約1億円相当でした。美術館は開館当初、中央区役所と併設されていましたが、2019年に区役所が移転し、以降は美術館専用の施設となりました。2020年のリニューアルオープンでは、新たにワークショップや図書室、子どもアトリエが新設されました。

新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、2021年からはデジタルミュージアム事業を開始し、オンラインでも美術館のコンテンツを楽しむことができるようになりました。

コレクションの特徴

千葉市美術館のコレクションは、設立当初から特定のテーマに基づいて収集されています。主なテーマは、
1. 房総地域にゆかりのある作家や作品
2. 日本文化の形成に寄与した近世以降の美術品
3. 現代美術
の三つです。

特にテーマ1に関しては、無縁寺心澄の作品が約950点、浜口陽三の作品が約50点収蔵されています。テーマ2には、浮世絵が充実しており、これは浮世絵の祖・菱川師宣が房総出身であることや、浮世絵研究家の今中宏が収集した渓斎英泉の300点のコレクションから始まりました。現在、版画は約1,000点、肉筆浮世絵は約100点を所蔵しています。

また、アメリカの文化人類学者ロバート・ラヴィッツから寄贈された絵入版本も1,000点以上あり、経営学者ピーター・ドラッカーによる室町時代の水墨画や禅画も含まれています。

主要な収蔵品

美術館には、江戸絵画や日本画に関する多くの作品が所蔵されています。中でも、伊藤若冲の「乗興舟」や葛飾北斎の「冨嶽三十六景」など、著名な作品が数多く展示されています。また、近現代美術にも力を入れており、草間彌生や河原温、秋岡美帆といった現代作家の作品も評価されています。

利用案内

美術館の開館時間は10時から18時ですが、金・土曜日は20時まで開館しています。休館日は毎月第1月曜日と年末年始です。観覧料は展覧会ごとに異なり、小・中・高校生は無料で入館できます。

交通アクセスは、JR千葉駅東口から徒歩15分、千葉都市モノレール葭川公園駅から徒歩5分となっています。特に、千葉市内からのアクセスも便利で、多くの方に利用されています。これらの魅力的なポイントから、千葉市美術館は地域の文化活動の中心として貢献し続けています。

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