協働

協働の概念と重要性

協働（きょうどう）とは、ある目標に向かって複数の主体が協力し合う行動を指します。英語では「Coproduction」や「cooperation」と表現されるこの概念は、近年、日本の地方自治や地域活性化において不可欠なものとして理解されています。協働という言葉は、アメリカの政治学者ヴィンセント・オストロムが1977年の著作の中で使用した「Co-production」に由来しています。オストロムの研究は、公共サービスの生産における政府と市民の役割分担に大きな影響を与えました。

歴史的背景

ヴィンセント・オストロムが協働の理論を構築するにあたり、彼はヴィクター・フクスの研究に触発されました。この影響で、政府による単独のサービス提供だけでは生産性が向上しないこと、また、一般市民との協力が不可欠であることが強調されました。これにより、公共政策の実施において市民参加が重要視されるようになりました。

地域における協働の視点

特に日本の地方自治では、協働はまちづくりの基盤として大変重要です。地域の課題を解決するためには、行政だけでは対応しきれない問題があります。そのため、住民やNPO、企業といった地域の様々な主体が一緒に行動し、より効果的なサービス供給や行政運営を目指さなければなりません。このように、協働は相互に不足を補い合いながら課題に立ち向かう形で重要性を増しています。

協働の主体

協働の主な主体は市民ですが、この「市民」は地域住民だけでなく、NPOや地域の企業、さらには行政も含まれます。言い換えれば、行政もまた地域の一員として、「行政市民」として協働の一翼を担うことが期待されています。従って、協働においては各主体が対等な立場で責任を持ちながら行動することが求められます。

協働の仕組み

協働の成功にはいくつかの要素が必要です。第一に、各主体が共有する目標を設定することが重要です。次に、協働する主体同士の対等性を確保し、それぞれが自律的に行動できる環境を整えることが必要です。また、最終的な目標が達成されるように、お互いの能力や資源を補完し合う体制を築くことも不可欠です。このように、協働は目標の共有や補完性、責任の分担を基盤として成り立っています。

阪神・淡路大震災の影響

協働の重要性が特に顕著になったのは、1995年の阪神・淡路大震災の際でした。この震災では、多くの要救助者が市民の助けによって救助されるという事例が多く見られました。行政の支援が追いつかない中で、市民自身が自助や共助の力を発揮し、地域の連帯感が育まれました。この経験は地域住民と行政が協力し合うことの重要性を再確認させ、全国的に協働のまちづくりが広がるきっかけとなりました。

協働の今後と課題

現在、協働型の社会活動は、行政主導や市民主導といった形で進行していますが、双方の長所を生かした相互推進型の協働が理想とされています。しかし、実際に協働を積極的に推進している地域はまだ少数です。今後は、行政とNPO、市民の協力を強化し、地方自治の新たな価値観として協働が根付き発展することが期待されています。協働は、より良い社会を築くための重要なステップとなるでしょう。

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