南海空港線

南海電気鉄道空港線：関西国際空港へのアクセスを担う鉄道路線

南海電気鉄道空港線は、大阪府泉佐野市の泉佐野駅から、同府泉南郡田尻町の関西空港駅までを結ぶ、重要なアクセス路線です。全長8.8kmの路線は、大阪湾に浮かぶ関西国際空港へと旅客を運びます。紫色のラインカラーと、飛行機をモチーフにした路線シンボルマークが特徴的です。

路線概要

空港線は、全線複線電化され、自動閉塞式を採用。ATS-PN、りんくうタウン駅から関西空港駅間はJR形ATS-Pも併設しています。最高速度は特急が110～120km/h、その他の列車は110km/hです。

泉佐野駅～りんくうタウン駅間(1.9km)は南海電気鉄道が第一種鉄道事業者として、りんくうタウン駅～関西空港駅間(6.9km)は南海電気鉄道が第二種鉄道事業者、新関西国際空港株式会社が第三種鉄道事業者としてそれぞれ運営しています。後者区間は、JR西日本関西空港線と線路を共用しており、全長3750mの関西国際空港連絡橋を渡ります。この連絡橋は在来線鉄道橋としては日本最長の規模を誇ります。

沿線の特徴

起点の泉佐野駅は3面4線の構造。南海本線と暫く線路を共用した後、空港線は独自の経路へと進みます。周辺は住宅地が広がり、りんくうプレジャータウンやりんくうゲートタワービルなど、特徴的な建造物も視界に現れます。

りんくうタウン駅は島式2面4線で、JR西日本との共同使用駅です。JR線が内側2線、南海線が外側2線をそれぞれ使用しています。同駅を出ると、JR線と線路を併走し、大阪湾を横断する関西国際空港連絡橋を渡り、関西国際空港島へと入ります。空港島内では、アクセス道路の間を走り、JR線と分岐し終点の関西空港駅に到着します。

運行形態

空港線では、主に難波駅発着の特急「ラピート」と空港急行が運行されています。「ラピート」は2003年からりんくうプレミアム・アウトレットへのアクセス向上のため、りんくうタウン駅に停車するようになりました。早朝には、泉佐野発関西空港行きの普通列車も運行されています。なお、南海本線和歌山市方面と異なり、自由席のある特急列車は運行されていません。

歴史

空港線の建設は、1987年に免許が交付され、1988年から用地買収が始まりました。用地取得や工事は難航し、事業費は当初想定を大幅に超過しました。1994年6月15日、従業員輸送を目的とした先行開業が行われ、同年9月4日の関西国際空港開港に合わせて特急「ラピート」の運転が開始されました。その後、2005年には泉佐野駅周辺の高架化工事が完成し、普通列車の終日運転を開始。2013年には保安装置を更新し、安全性の向上を図りました。2018年には台風21号の影響で関西国際空港連絡橋が被害を受け、運転を見合わせましたが、その後復旧しました。

駅一覧

空港線には、泉佐野駅、りんくうタウン駅、関西空港駅の3駅があります。すべての列車種別が全駅に停車します。

その他

空港線は全線の約42.6％が海の上を通過する、珍しい路線です。南海電気鉄道の株主優待乗車証は、りんくうタウン駅～関西空港駅間では利用できません。また、南海電気鉄道全線で唯一、踏切がない路線でもあります。

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