共同使用駅
共同使用駅(きょうどうしようえき)は、複数の
鉄道事業者が一つの施設を共有して運営する駅を指します。日本では、共同駅とも呼ばれています。
概要
多くの
鉄道事業者が同じ地点に駅を設置する場合、各事業者が独自に駅を運営すると、業務が重複して無駄が生じる可能性があります。また、乗客にとっても、異なる事業者の路線同士を乗り継ぐ際、複数の改札を通過する手間が発生します。このような不便を解消するため、複数の事業者が駅の管理を協議し合い、一部の施設を共同で使用する仕組みが整えられました。
共同使用の特徴
共同使用駅は、直通運転が行われる駅や、異なる事業者が線路を共有する駅などに多く見られます。例えば、東京メトロ南北線と
都営地下鉄三田線が接続する白金高輪駅や、北総鉄道と京成成田空港線が共同使用する駅がその例です。また、直通運転に関わる境界となっている駅のほとんどは、管理を一方の事業者に委託することで運営されています。
改札口の運営方法にもいくつかのスタイルがあります。一つの事業者が全ての改札口を管理する場合もあれば、異なる事業者がそれぞれの改札口を管理する場合(例:近鉄富田駅、伊勢市駅など)や、共同の改札口を設けている駅(大鰐温泉駅、大鰐駅など)も存在します。そのほか、神奈川県の新横浜駅や関西国際空港駅などでは、駅施設全体を複数の事業者で共同管理する事例もあります。
ノーラッチ方式
共同使用の駅では、改札内を共同で使用しているため、乗客は改札を通らずに他の列車に乗り換えることができるノーラッチ方式が導入されている場合があります。また、入場券については、通常最低料金の事業者のものに統一されることが一般的ですが、例外も存在します。
近年では、ストアードフェアシステムの導入によって、駅の施設工事などに伴い、改札口が分離されるケースが増えています(下北沢駅や桑名駅など)。一方で、改札口が統合される例も見られます(谷上駅や九段下駅など)。
ユニオンステーション
アメリカや
カナダでは、複数の
鉄道事業者が共同利用する
ターミナル駅をユニオンステーション(union station)やユニオンターミナル(union terminal)と呼びます。多くの北米の都市には、「ユニオンステーション」という名の駅が存在し、通常はその街の全ての旅客列車が発着します。ただし、
シカゴのように複数の
ターミナル駅がある都市もあります。
北米のユニオンステーションは、入ってくる
鉄道事業者が共同出資した会社によって管理されることが一般的です。各事業者はこの会社に対し、
線路使用料を支払っているのが通例です。しかし、近年では鉄道会社の統廃合や長距離旅客列車の運行元が
アムトラックやVIA鉄道に集約されたことにより、必ずしも「ユニオン駅」となっているからといって、共同利用の駅であるとは限りません。
このように、共同使用駅は、乗客にとって利便性を向上させ、
鉄道事業者の運営効率を上げる重要な役割を果たしています。