原丈人

原丈人



原丈人(はら じょうじ、George Hara、1952年 - )は、日本の著名な事業家、ベンチャーキャピタリストです。アライアンス・フォーラム財団会長、Defta Partners グループ会長として、グローバルな視点での事業展開と社会貢献を両立させています。コクヨ創業者の血筋を受け継ぎ、その革新的な精神は、公益資本主義の提唱にも繋がっています。

経歴と人物



大阪府に生まれ、慶應義塾大学法学部を卒業後、中米での考古学調査に携わるという異色の経歴を持ちます。その後、スタンフォード大学でMBAを取得。経営学を志した背景には、考古学者ハインリヒ・シュリーマンのように、事業で得た資金を研究に活かしたいという思いがありました。国際連合フェローを経て、同大学大学院で工学修士号も取得しています。29歳で光ファイバー・ディスプレイの開発会社を設立し、起業家としてのキャリアをスタートさせました。

1984年または1985年には、事業持株会社DEFTA Partnersを設立。シリコンバレーを拠点に、1980年代から1990年代にかけて通信技術分野のベンチャーキャピタリストとして活躍しました。ボーランド、PictureTel、SCOなど、20社以上のソフトウェア関連企業の発展に貢献。2000年以降は、Oplus Technologies(インテルが吸収)、Broadware(シスコが吸収)、Fortinetなど、アメリカやヨーロッパの企業の役員を歴任しました。

1985年には、アライアンス・フォーラム財団をサンフランシスコに設立し、社会貢献活動にも力を入れています。2003年には、サンフランシスコへの貢献が評価され、National Republican Congressional CommitteeからNational Leadership Awardを受賞。Republican Business Advisory Councilの Honorary Co-Chairmanにも就任しました。

2005年時点で、サンフランシスコとロンドンを軸に、アメリカ、イギリス、イスラエル、韓国、日本でポスト・コンピューター技術の事業を展開。バングラデシュでは、NGOのBRACと共同で「bracNetプロジェクト」を実施するなど、途上国支援にも積極的に取り組んでいます。

公益資本主義の提唱



2007年には、著書で新しい資本主義の形として公益資本主義を提唱しました。従来の利益至上主義的な経営指標を批判し、利益は株主だけでなく、従業員、顧客、取引先、地域社会、そして地球全体に還元されるべきだと主張しています。この考え方は、税引後当期利益を社会全体で共有するという、革新的な視点を提供しています。

その他の活動



2010年時点で、XVD Technologiesの会長、アライアンス・フォーラム財団の代表理事を務める傍ら、San Francisco Opera、University of San Francisco、Tokyo Foundation、Japan Society and the Hara Research Foundationの役員も兼任。幅広い分野で社会貢献活動を続けています。

2012年からは、原鉄道模型博物館の副館長として、父親である原信太郎氏の鉄道関連コレクションの収集に協力。世界中を訪問し、貴重なコレクションの充実に尽力しています。2013年4月には政府経済財政諮問会議に招かれ、5月にはデフタ・パートナーズ会長として、甘利明経済再生担当大臣(当時)や安倍晋三首相と面会。同年には内閣府参与に就任し、政策立案にも関与しました。

岸田文雄首相が提唱する「新しい資本主義」について、2021年10月には、自身が提唱する公益資本主義がその理論的な骨格になっていると主張しています。

主な肩書



財務省 参与(2006年10月~2011年12月)
内閣府 参与(2013年~2020年)
政府税制調査会特別委員(2009年6月時点)
経済産業省 産業構造審議会委員(2009年6月時点)
Goodwill Ambassador of IIMSAM(国連IIMSAM親善大使)(2010年6月時点)
Permanent Observer Delegation to the United Nations Economic and Social Council(国際連合本部経済社会理事会常任諮問団大使)(2010年6月時点)
Representative Ambassador of WAFUNIF(WAFUNIF代表大使)(2010年6月時点)
公益財団法人国家基本問題研究所理事(2011年5月時点)
大阪公立大学 特別客員教授(2022年7月就任)
香港中文大学 客員教授

著書



『21世紀の国富論』(平凡社2007年6月 ISBN 9784582833577
新しい資本主義 希望の大国・日本の可能性』(PHP新書)2009年4月 ISBN 978-4569708324
『増補 21世紀の国富論』(平凡社2013年9月 ISBN 978-4256984147
『「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉』(文春新書)2017年3月 ISBN 978-4166611041

原丈人氏は、その多岐にわたる活動を通じて、社会に貢献し続ける、現代日本を代表する人物の一人と言えるでしょう。

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