原田隆司

原田 隆司

原田 隆司（はらだ たかし）氏は、1967年7月27日に大阪府堺市で生まれた日本のラグビー指導者、元レフリー（審判員）です。現役選手としてはスタンドオフ（SO）やフルバック（FB）のポジションでプレーしていました。現在は、ジャパンラグビーリーグワンに所属する三重Honda HEATのアドバイザーとして活動しています。

原田氏は、北野高校、大阪教育大学を経て、小学校の教員として教壇に立つ傍ら、1991年にラグビーレフリーとしてのキャリアを歩み始めました。公認レフリーとして経験を積み重ね、日本ラグビーの最高峰であるトップリーグにおいては、2003-2004シーズンの開幕節、ワールドファイティングブル対ヤマハ発動機の試合でアシスタントレフリーとして初担当を務めています。

レフリーとしてのキャリアは順調に進むかに見えましたが、2008年には、試合中に選手との接触により右膝の前十字靭帯を断裂するという重傷を負いました。通常であれば選手生命だけでなく、レフリーキャリアにも大きな影響を及ぼしかねない怪我でしたが、約3年に及ぶ懸命なリハビリに励み、2012年には再びフィールドに立つまでに回復しました。これは、彼の強い意志とラグビーへの情熱を示す出来事でした。

しかし、同年、今度は左膝の前十字靭帯を再び断裂するという不運に見舞われます。この2度目の大怪我からのリハビリ期間は約3年に及び、実質的に約8年間、公認レフリーとして活動しながらも公式戦ではアシスタントレフリーとしての担当が中心となりました。度重なる困難に直面しながらも、原田氏はラグビーへの貢献を諦めませんでした。この長いリハビリ期間中、彼は特に大阪・関西地方の次代を担う若手レフリーたちの指導・育成に情熱を傾け、彼らの技術向上やモチベーション維持に尽力するなど、後進の育成に多大な貢献を果たしました。自身の経験を通じて、レフリーが直面する困難や課題を理解し、実践的な指導を行ったことは、多くの若手レフリーにとって貴重な財産となったと言えるでしょう。

2度の大怪我とその後の長期にわたるリハビリ、そして若手育成への貢献という期間を経て、原田氏は2016年にレフリー活動から引退することを決断しました。しかし、彼のラグビー界への貢献はここで終わりませんでした。引退後は、活動の舞台を国際的な場に移します。2017年にはラグビーアジア協会のレフリーマネージャーに就任し、アジア地域のレフリー体制の構築やレベル向上に向けた取り組みを牽引し、アジア全体のラグビーの発展に寄与しました。

さらに2019年には、ワールドラグビーのローレビューグループメンバーに選出されました。これは、ラグビー競技規則の解釈や適用に関する重要な議論に世界のラグビー識者と共に参加するものであり、競技の公平性や安全性の確保に貢献するなど、世界のラグビー統括組織においても重要な役割を担ったことを意味します。

国内でのレフリーとしての豊富な経験、度重なる怪我からの不屈の回復、後進育成への情熱、そして引退後の国際的な舞台での活躍を経て、原田氏は現在、三重Honda HEATでアドバイザーとしてチームを支えています。選手としてもレフリーとしても、そして指導者・管理者としても、多方面から日本のラグビー界、そして世界のラグビー界に貢献し続けている人物です。

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