吉岡徳仁

吉岡徳仁：光と自然を捉えるデザイナー

吉岡徳仁は、1967年に佐賀県で生まれた、日本を代表するデザイナー、アーティストです。その活動は、プロダクトデザインから建築、現代美術まで幅広く、国際的な評価も非常に高いことで知られています。レオナルド・ダ・ヴィンチに影響を受け、幼少期から絵画や科学に興味を持っていたことが、彼の独特な感性と創造性の源泉となっています。

経歴

1986年に桑沢デザイン研究所を卒業後、倉俣史朗と三宅一生という二人の巨匠のもとでデザインを学びました。2000年には自身のデザイン事務所を設立し、ISSEY MIYAKEをはじめ、カルティエ、スワロフスキー、ルイ・ヴィトン、エルメス、TOYOTAなど、名だたるグローバル企業とのコラボレーションを数多く手がけています。また、毎年ミラノで開催されるミラノサローネ国際家具見本市では、Kartell、Moroso、Glas Italia、Driadeといった有名家具ブランドとの新作発表も欠かしません。

彼の作品は、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センター、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館など、世界中の主要美術館に永久所蔵されており、アメリカNewsweek誌からは「世界が尊敬する日本人100人」にも選出されています。さらに、Design Miami／Designer of the Year、Elle Deco International Design Awards／Designer of the Year、Maison & Objet／Creator of the Yearなど、数々の賞を受賞しています。

代表的な作品

吉岡徳仁の作品は、自然の構造や現象から着想を得たものが多く、その独創性と美しさが際立っています。

自然構造の椅子: 紙の椅子「Honey-pop」(2001)は、薄い紙の積層を広げることでハニカム構造になるというユニークなデザインです。「PANE chair」(2006)は、繊維が絡み合うことで構造を生み出すという、植物の繊維構造を模倣した作品です。そして、「Venus – 結晶の椅子」(2008)は、水槽内で自然結晶を成長させて椅子にするという、自然の力を借りた驚くべき作品です。

ガラスプロジェクト: 光学ガラスを使用した「Water Block」(2002)は、美しいベンチとしてパリのオルセー美術館に展示されています。その他、「Transparent Japanese House」(2002)や「Chair that disappears in the rain」(2002)、「Waterfall」 (2005-2006)など、ガラスの透明感と光の相互作用を追求した作品を制作しています。また、「ガラスの茶室 – 光庵」(2011)は、ヴェネツィア・ビエンナーレで発表され、後に京都の将軍塚青龍殿にも設置されました。

クリスタライズドプロジェクト: 自然結晶を成長させて制作する「VENUS – 結晶の椅子」(2008)をはじめ、音楽の振動で結晶の形状を変える「Swan Lake - 結晶の絵画」、「Destiny - 運命」、「Moonlight - 月光」や、薔薇の色素を結晶化させた「ROSE - 薔薇の彫刻」など、自然の力を借りて生命のエネルギーを表現した作品群です。

「虹の教会 - Rainbow Church」: 500個ものクリスタルプリズムから生み出された建築は、光を知覚する人間の感覚に着目した作品で、プリズムから放たれる光が空間全体を虹色に染め上げます。

オルセー美術館での展示

パリのオルセー美術館では、印象派ギャラリーのリニューアルプロジェクトに参加し、マネ、ドガ、モネ、セザンヌ、ルノワールといった巨匠たちの作品と共に、吉岡徳仁のガラスのベンチ「Water Block」が常設展示されています。印象派の絵画が捉えた光と調和し、歴史と現代の新しい対話が生まれる空間を創り出しています。

その他の活動

吉岡徳仁は、2020年東京オリンピックの聖火リレートーチのデザインを担当するなど、その活動は多岐にわたります。また、「光の結晶」といったパブリックアート作品も手がけ、日常空間に美と驚きをもたらしています。

主な展覧会

国内外で多数の展覧会を開催しており、その作品は世界中の美術館で展示されています。

ISSEY MIYAKE Making Things（カルティエ財団現代美術館、東京都現代美術館など）
Tokujin Yoshioka Honey-pop（MDS/G）
Tokujin Yoshioka x Lexus（Museum of Permanente）
Story of … Memories of Cartier Creations（東京国立博物館表慶館）
Second Nature展（21 21 DESIGN SIGHT）
Sensing Nature ネイチャー・センス展（森美術館）
TOKUJIN YOSHIOKA_Crystallize（東京都現代美術館）
吉岡徳仁展 – Tornado（佐賀県立美術館）
吉岡徳仁　光とガラス / 21_21 DESIGN SIGHT

世界の美術館による永久所蔵

彼の作品は、以下の美術館に永久所蔵されています。

ニューヨーク近代美術館（MoMA）（アメリカ）
ポンピドゥー・センター（フランス）
オルセー美術館（フランス）
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館（V&A)（イギリス）
東京都現代美術館（日本）

主な受賞歴

数多くの賞を受賞しており、国際的に高い評価を受けています。

毎日デザイン賞
芸術選奨文部科学大臣新人賞（芸術振興部門）
Design Miami／Designer of the Year
Elle Deco International Design Awards／Designer of the Year
Maison & Objet／Creator of the Year

書籍・作品集

作品集や書籍も多数出版しており、そのデザイン哲学や作品世界を知ることができます。

『Tokujin Design』
『Tokujin Yoshioka Design』
『Second Nature セカンド・ネイチャー』
『みえないかたち』
『ネイチャー・センス SENSING NATURE』
『TOKUJIN YOSHIOKA』
『TOKUJIN YOSHIOKA_Crystallize』
『光庵 – ガラスの茶室』

TV出演

ドキュメンタリー番組や美術番組にも多数出演し、その活動や作品について語っています。

『プロフェッショナル 仕事の流儀』
『情熱大陸』
『日曜美術館』
『SWITCH インタビュー達人達』
『新美の巨人たち』

吉岡徳仁は、自然と光をテーマに、その独自の感性と高度な技術で、私たちの日常に驚きと感動を与える作品を創造し続けています。

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