名誉大佐

名誉大佐とは



名誉大佐(英: Colonel)とは、国家軍隊が、軍人またはその国家の建設や繁栄に功績のあった人物に対して授与する名誉称号です。軍隊における階級の一つである大佐と同じ言葉を使いますが、その意味合いは大きく異なります。

名誉大佐には、軍事的な指揮権は一切なく、軍人としての福利厚生や給与、年金を受け取る権利も一般的にはありません。これは、軍隊における階級としての「大佐」とは異なる点です。

名誉大佐の起源



名誉大佐の起源は、近世イングランド南北戦争前のアメリカ合衆国に遡ります。当時、地元の民兵隊への活動資金を拠出した富豪に対し、実際の指揮権を持たない大佐称号を贈ることで、その貢献を称えました。当時、大佐を指揮官とする連隊が基本単位の部隊であり、小規模な傭兵集団や民兵隊でも連隊と称し、その長を大佐と呼んだことが背景にあります。

各国の事例



アメリカ合衆国


アメリカ合衆国では、州が実戦能力を持つ州兵部隊を保有し、その将校や兵士を任命しています。州兵民兵と定義されますが、州予算と連邦からの補助で運営される事実上の通常軍隊です。しかし、社会貢献活動への表彰として、現在でも名誉大佐を任命する州が南部を中心に存在します。

特に有名なのが、ケンタッキー州が授与する「ケンタッキー・カーネル」の称号です。これも名誉大佐の一種と見なされています。

欧米では、名誉大佐は一種のセレブリティとして扱われる傾向があり、カーネル・サンダースが白い服を着用していたのも、その象徴と言えるでしょう。

イギリス


イギリス[[陸軍]]の初期は、カーネル・イン・チーフが所有する連隊の寄せ集めでした。この歴史的経緯から、現在でもカーネル・イン・チーフという制度は存在しますが、これは名誉職であり、式典に出席する程度の役割となっています。

名誉大佐は、功績のあった退役軍人などに授与されます。陸軍では「Honorary Colonel」、海軍では「Honorary Captain」と呼ばれます。

中南米


中南米でも名誉大佐称号は存在します。例えば、医学者の野口英世は、エクアドルで流行していた黄熱病の研究に貢献したことにより、1918年にエクアドル陸軍から名誉軍医監と名誉大佐称号を授与されています。この際、軍服、軍靴、軍刀も授与されたという記録があります。

ジャマイカなどでも名誉大佐称号が存在します。

関連人物



トム・パーカー:エルヴィス・プレスリーのマネージャー。ルイジアナ州兵の名誉大佐で、「大佐」と通称されました。
ムアンマル・アル=カッザーフィーリビアの最高指導者で、「カダフィ大佐」と通称されました。彼の「大佐」の語源には諸説あり、名誉大佐ではないという説もあります。
* アーサー・マッカーサー・ジュニア南北戦争に参加し、19歳でウィスコンシン州カーネルを授与され、「少年大佐(The Boy Colonel)」と呼ばれました。

まとめ



名誉大佐は、軍事的な階級としての「大佐」とは異なり、国家軍隊への貢献を称えるための称号です。歴史的な背景や各国の事例を知ることで、その意味合いを深く理解することができます。

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