呉起

呉起について

呉起（ご き、生年紀元前440年頃 - 死年紀元前381年）は、中国戦国時代における著名な軍人、政治家、そして軍事思想家です。彼は孫武や孫臏に並ぶ兵家の代表的人物と見なされ、兵法はしばしば「孫呉の術」として知られています。死後、彼に関連する兵法書『呉子』が編纂され、その思想は現代にも影響を与えています。彼の多彩な人生と功績は、いくつかの重要な段階を経て展開しました。

生涯の初期

呉起は衛の左氏、現在の山東省菏沢市定陶区に生まれました。彼は出世を目指し、曾子に学ぶも、母の葬儀に関わらず学びを続けたため、家族に対する不孝とされ破門されてしまいました。前述の理由から、出世を目指す途上で彼の心には深い後ろめたさがありました。

魯での活躍

紀元前412年、呉起は魯の穆公に将軍として招かれ、斉軍を撃破しました。しかし、彼の行動についての噂が立ち、最終的には魯の大夫たちの不信を招き、罷免されることになります。この危機から彼は紀元前411年に魏へ亡命しました。

魏での軍事的成功

魏では文侯の下で再び軍を指揮することになり、彼の軍事能力が評価されました。呉起は兵士たちと同じ待遇で接し、献身的な行動をとることにより、兵士たちからの信頼を勝ち取ります。このエピソードは「吮疽の仁」として有名です。彼の指揮の元、紀元前409年には秦を討ち、顕著な成果を上げましたが、後に政権闘争に巻き込まれ、無名の身となります。

楚での改革

楚に渡った呉起は、悼王の下で令尹（宰相）に制度改革を施行します。彼は法家の原則を基に国政改革を進め、無駄な官職を廃止し、農民層を重視した政策を実施しました。この改革により楚は強国へと成長し、周辺国を征服するまでになります。しかし、得られた権限によって彼は貴族たちからの恨みを買いました。

最期と影響

紀元前381年、悼王が死去すると、反呉起派が台頭し、彼が暗殺される事態となります。呉起は最期の瞬間まで復讐を企てながらも、改革は不完全に終わりました。その後、権力が回復した楚は再び古い政治体制に戻ります。一方、呉起に似た法家の商鞅は秦において法治主義を確立し、後の秦の繁栄に寄与します。トラブルを抱えながらも、呉起の影響は後世に長く残り、その軍事及び政治的手法は、今なお多くの戦略家や政治家に受け継がれているのです。

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