喬木村立椋鳩十記念図書館

喬木村立椋鳩十記念図書館：児童文学と猫が織りなす、活気あふれる学びの空間

長野県下伊那郡喬木村に位置する喬木村立椋鳩十記念図書館は、児童文学者椋鳩十の功績を称え、地域住民の生涯学習を支援する公立図書館です。同敷地内には椋鳩十記念館も併設されており、一体となって地域文化の拠点としての役割を担っています。

図書館の運営理念は、椋鳩十の言葉である「活字の林をさまよい思考の泉のほとりにたたずむ」に集約されています。この理念に基づき、椋鳩十の作品やその精神を通して、地域住民と連携した多彩な活動を展開しています。

歴史：地域住民の熱意から生まれた図書館

記念図書館ができる以前は、公民館図書室がその役割を担っていました。公民館図書部は椋鳩十の作品を中心に、村民への読書活動の推進に尽力し、高い読書意欲を育んでいました。この活動と村民の強い読書への願いが、記念図書館の設立へと繋がり、その精神は現在も受け継がれています。

1992年、ふるさと創生事業による国からの交付金を活用し、村民アンケートの結果を反映して、図書館と記念館を一体とした施設として開館しました。村民の文化活動発表の場である「村民ギャラリー」や、散策路も整備され、地域に開かれた施設となっています。

開館当初から児童書を中心に充実した蔵書を誇り、椋鳩十関連資料も収集・展示しています。1996年時点では、蔵書数は36,353冊に上り、そのうち約半数を児童書が占めていました。

2004年には椋鳩十生誕100周年記念写真展を開催するなど、様々な企画を通して、地域住民への情報発信を積極的に行っています。そして2016年には、図書館駐車場で保護された迷子の猫「ムクニャン」が、来館者の人気投票によって「猫館長」に就任し、図書館に新たな魅力を加えています。

図書館：児童書を中心に、地域連携を強化

現在も児童書を豊富に揃え、椋鳩十関連の貴重な資料も数多く収蔵しています。開館時間は、平日は10時から18時、金曜日には20時まで延長され、土日は17時までです。月曜日、第1火曜日、祝日、蔵書整理期間（9月中旬）、年末年始は休館日です。1人5冊まで、2週間の貸出が可能です。南信州図書館ネットワークにも加盟しており、周辺市町村の図書館との相互貸借も利用できます。

記念館：椋鳩十の世界を深く探求

記念館では、椋鳩十の児童文学作品、動物に関する研究成果など、8つのテーマに分けて展示を行っています。『少年倶楽部』掲載作品や代表作『片耳の大鹿』、『マヤの一生』、『モモちゃんとあかね』などの貴重な資料に加え、晩年の作品『森の少女』の原稿なども展示されています。写真、解説パネル、映像などを活用した分かりやすい展示で、椋鳩十の世界観を余すことなく紹介しています。開館時間と休館日は図書館と共通ですが、金曜日の延長開館は行っておらず、入館料（大人200円、子供100円、村民無料）が必要となります。

猫館長ムクニャン：来館者と交流する人気者

2016年1月、雪の降る日に図書館駐車場で保護された茶トラのオス猫「ムクニャン」は、今では図書館のマスコット的存在です。図書館職員が飼い主を探しましたが、見つからなかったため、子供たちの強い要望を受けて「猫館長」に就任しました。日中は図書館内で来館者を迎えるムクニャンは、その存在で図書館をより親しみやすく、魅力的な場所にしています。ムクニャンの就任後、来館者数は増加し、地域活性化にも貢献しています。

主な取り組み：椋鳩十の精神を継承し、地域に貢献

喬木村の総合振興計画「椋の里で未来を切り拓く心豊かな人づくり」に基づき、記念図書館と記念館は、椋鳩十の顕彰と資料収集、そして彼の精神に基づいた図書館運営を推進しています。

特に「母と子の20分間読書運動」は、椋鳩十が鹿児島県立図書館長時代に提唱した運動で、絵本を通して親子の絆を育むことを目的としています。図書館ではブックスタート事業と連携し、この運動を積極的に推進しています。

また、「全村読書の日」を制定し、地域全体で読書を推進する取り組みも特徴的です。6月9日と8月10日の2日間、テレビを消して読書をすることを呼びかけ、さらに10日間を「全村読書旬間」として、椋鳩十夕やけ祭などのイベントと連携しています。

その他、椋鳩十賞読書感想文コンクールや、村内の保育園、小学校、中学校との連携事業なども展開し、地域に密着した活動を展開しています。

交通アクセス

天竜川をはさんで木曽山脈（中央アルプス）や恵那山を望む小高い丘の上に位置します。JR飯田線元善光寺駅から車で15分、中央自動車道飯田ICから車で30分です。80台分の駐車場を備えています。

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