国民の考え

国民の考え：韓国政界に現れた短命政党

国民の考えは、中道保守を掲げた韓国の政党です。2012年2月13日、金泳三政権で要職を務めた朴世逸氏を代表に、創立大会が開かれました。朴氏は、当時、韓半島先進化財団の理事長を務めていました。

党結成当初は、国会議員は一人もいませんでした。しかし、2012年3月9日、与党セヌリ党（当時、ハンナラ党から改称したばかり）を離党した田麗玉議員が国民の考えに入党し、勢力拡大を図りました。田議員は、国民の考えにとって貴重な戦力となりました。

同年4月11日に行われた第19代総選挙では、国民の考えは地域区に20人の候補者を擁立、田議員を前面に押し出して選挙戦に臨みました。しかし、選挙戦は厳しいものとなりました。与党であるセヌリ党と、野党勢力である民主統合党や統合進歩党という強力な勢力の間に挟まれ、国民の考えは存在感を示すことが出来ませんでした。

選挙の結果、国民の考えは地域区、比例代表区のいずれにおいても議席を獲得することができませんでした。政党得票率も0.73%（15万6222票）と低迷しました。韓国の政党法では、有効得票の2%未満で当選者を出せなかった政党は自動的に解散されると定められています。このため、国民の考えは2012年4月12日、わずか2ヶ月足らずで解散という運命を辿ることとなりました。

国民の考えは、韓国政界において短命に終わったものの、その存在は、韓国の政党政治における競争の激しさ、そして政党法の厳格さを示す一つの事例として記憶されています。また、与党と野党の間に位置する中道保守政党が、いかに厳しい状況に置かれているかを示す例ともなりました。選挙制度や政党政治のあり方について、改めて考える契機となったと言えるでしょう。

年表

2012年2月13日：国民の考え創立大会。代表に朴世逸を選出。
2012年3月9日：セヌリ党を離党した田麗玉議員が入党。
2012年4月11日：第19代総選挙。地域区と比例代表の双方で当選者無し。
2012年4月12日：政党法の規定に基づき自動的に解散。

考察

国民の考えの失敗は、単に選挙戦略の失敗だけでなく、韓国の政党政治における構造的な問題を浮き彫りにしました。中道政党が生き残るための戦略、選挙制度の改善、有権者の政治意識の高まりなど、多くの課題が改めて問われることとなりました。国民の考えの短い歴史は、韓国の政治システムの複雑さとダイナミズムを象徴する出来事と言えるでしょう。

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