国民経済計算

国民経済計算（SNA）について

国民経済計算（こくみんけいざいけいさん）は、一国の経済の状況を体系的に評価・記録するための基準です。この計算は、国内の生産、消費、投資といったフロー面と、資産や負債などのストック面を包括しており、国際的な比較も可能にします。

国際連合は各国の経済活動を比較するために、共通の基準を設けており、その標準となるのが「国際連合国民経済計算システム（UNSNA）」です。最新の基準は2008年に採用された2008SNAであり、これに基づいて各国の経済指標が策定されています。

日本における国民経済計算

日本では2016年の第2次速報から2008SNAに基づく指標に改定されました。それ以前は1993年に採択された1993SNAに基づいていました。さらなる歴史を遡ると、1968SNAや1953SNAの基準があり、これらは国勢調査やその他の一次統計を活用して構築されています。国民経済計算の集計作業は内閣府が担当しています。

発表のタイミング

国民経済計算は通常、対象年度の終了から2年後に年報の形で掲載されます。しかし、この方法では直近の経済動向を追うことが難しいため、四半期ごとに国内総生産（GDP）の推計を行っています。これにより、四半期の終了から約1か月半後に第一次速報が、約2か月半後に第二次速報が発表されます。12月中旬には前年度のGDP確報が公開されるものの、その後も新しいデータや推計方法によって過去の数字に修正が加えられることがあります。

三面等価の原則

国民経済計算の根幹を成すのが「三面等価の原則」です。これは、生産、支出、分配の3つの面から経済活動の規模を測定し、これらが常に等しくなることを示しています。国内で生産された財やサービスは必ず何らかの用途に使われ、その支出は生産の額と同じになります。生産によって生まれた付加価値も、賃金や利益などで分配されます。よって、ＧＤＰは生産側からも支出側からも同じ額になるわけです。実務では統計の誤差を調整するため、「不突合」という調整項目が用いられ、両サイドの推計が一致するように工夫されています。

指標の詳細

• - 国内総生産（GDP）: 国内で生産された付加価値の合計を示します。具体的には、雇用者の所得、営業余剰、資本減耗、税金などが含まれ、補助金が差し引かれます。
• - 国内純生産: GDPから固定資本の減耗を除いた指標で、国の持続可能な生産能力を示します。
• - 国内総支出: これは、家計、政府、資本形成における支出を示し、需要サイドからの分析が可能です。また、民間最終消費支出、政府支出、総資本形成、純輸出に分けて見られます。

農家の自家消費と帰属家賃

国民経済計算には、農家が市場に出荷しない自家消費も含まれ、これをGDPに加算します。また、持ち家の場合、実際の賃貸料を支払わない代わりに、持ち家の所有者が自分に対して賃料を支払っていると仮定してその額を計上する「帰属家賃」という概念も存在します。これにより、消費や経済活動の計上に不合理が発生するのを防いでいます。

基準改定と関連項目

国民経済計算は5年ごとに基礎資料の入れ替えなどの大規模な改定が行われます。この基準改定は、最新の国勢調査や消費者物価指数をもとにして実施され、経済の正確な状況を反映するための重要なプロセスです。加えて、一般政府部門などの様々な関連項目も理解することで、経済全体の動きをより詳細に把握することが可能になります。

以上のように、国民経済計算は一国の経済を理解するために欠かせない指標であり、さまざまな統計データと相まって経済政策の策定や分析に重要な役割を果たしています。

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