国際自動車

国際自動車：東京のタクシー業界を牽引する老舗企業の歩み

国際自動車株式会社は、東京都を本拠地とする、タクシー、ハイヤー、バス事業などを展開する巨大企業グループkmグループの中核企業です。1920年（大正9年）の創業以来、東京の交通インフラを支え、業界をリードしてきた歴史を持ちます。

戦時統合から現代へ：激動の時代を生き抜いた企業

国際自動車は、創業当初はハイヤー事業からスタートしました。その後、戦時統合によって数多くの事業者を吸収合併し、現在の巨大な事業規模を築き上げました。この過程で、経営陣の交代や、オーナー経営からの転換といった、大きな変化を経験しています。中興の祖である波多野元二氏は、元運転手からオーナー兼運転手へと成長し、国際自動車の経営に参画、株式を買い増し経営権を掌握した人物として知られています。興味深いことに、小佐野賢治氏が国際興業を設立する際に、国際自動車の社名から着想を得たというエピソードも存在します。現在では両社は全く関係ありませんが、東京四社が発行するタクシーチケットを国際興業大阪で利用できるなど、歴史的な繋がりを感じさせる部分も残っています。

2004年には、約2000億円の有利子負債を抱えるなど経営危機に陥りましたが、UFJグループ主導による経営再建計画によって、不動産事業からの撤退や、シナジー・キャピタルによる株式の取得など大胆な改革を実施し、再建に成功しました。この計画は、国土交通省によって産業活力再生特別措置法の対象として認定されたほど、画期的なものでした。

サービスと技術革新：時代の変化に対応する柔軟性

国際自動車は、常に時代のニーズに対応しようと努力してきました。2004年から乗客も含めた禁煙タクシーの運行を積極的に展開し、ICカード式電子マネーの導入も早かった企業の一つです。現在では、QUICPay、iD、主要交通系ICカード（PiTaPaを除く）によるタクシー運賃支払が可能です。

近年は、デジタル技術の活用にも積極的に取り組んでいます。スマートフォンアプリ「フルクル」や「S.RIDE」の導入により、配車システムの効率化や顧客利便性の向上を図っています。また、GPS無線配車システムや「km My Taxiカード」の導入により、迅速かつ正確な配車サービスを提供しています。

グループ企業と提携：広がるネットワーク

国際自動車は、単独企業としてではなく、kmグループという広範なネットワークを形成しています。グループには、国際自動車株式会社（T1）、国際自動車株式会社（T2）、国際自動車（横浜）など、多くの関連会社が含まれています。さらに、kmパートナーズとして、多数の業務提携会社と連携することで、営業範囲を拡大し、顧客へのサービス提供を強化しています。

グループ全体では、タクシー4,833台、ハイヤー424台、バス75台、合計5,332台（2024年3月31日現在）もの車両を保有し、東京を中心に広範囲でサービスを提供しています。

多様な車両とサービス：顧客ニーズへの対応

国際自動車は、多様な車両を用意することで顧客のニーズに対応しています。タクシー車両は、東京4社色の黄色い車両や黒色、濃紺色の車両などがあり、デザインや仕様も様々です。また、プレミアムタクシーや、女性乗務員によるコミュニティタクシー「Re:laxi」といった、特徴的なサービスも提供しています。

近年は、トヨタ・ジャパンタクシーの導入や、後方視認性を向上させた「ミラクルミラー」の採用など、安全面への配慮も強化しています。

今後の展望：持続可能な成長に向けて

国際自動車は、100年以上の歴史を持つ老舗企業でありながら、常に変化を恐れず、革新的な取り組みを続けてきました。これからも、デジタル技術の活用や、他社との連携などを推進することで、持続可能な成長を目指していくことでしょう。東京の交通インフラを支える存在として、その動向は今後も注目に値します。

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