地中海食

地中海食とは

地中海食（ちちゅうかいしょく、Mediterranean diet）とは、イタリア、スペイン、ギリシャなどの地中海沿岸諸国で広く受け継がれている食事や食習慣のことを指します。これには、ナッツ、オリーブオイル、野菜、果物、全粒穀物、豆類、魚、鶏肉が豊富に使用され、チーズやヨーグルトもよく摂取されます。反対に、赤肉や卵、お菓子は控えめにされ、赤ワインは適度に楽しむという特徴があります。このような食生活が、伝統的な文化の一環としてさまざまな国に根付いています。

健康への影響

地中海食と健康の関連性は多くの研究で示されています。特に、地中海沿岸諸国では心血管疾患の発症率が低いことが知られており、その一因として食生活が考えられています。著名な研究の一つである世界7カ国共同研究では、食事と虚血性心疾患の関係が調査され、地中海食が血清コレステロール値を抑制し、冠動脈疾患との関連が明らかにされました。

従来の西洋的な食事と比較して、地中海食は心血管疾患やがんのリスクを低下させるとされています。例えば、慢性疾患に対する予防効果や、特に糖尿病のリスクを軽減する可能性も報告されています。2014年の研究では、エキストラ・ヴァージン・オリーブオイルを中心にした地中海食が糖尿病の発症を有意に少なくしたことが示されました。

また、地中海食は骨健康にも寄与する可能性があります。オリーブオイルやナッツ類を多く含む地中海食が、骨形成マーカーに良い影響を与えることが研究で示されています。さらに、健康な女性を対象にした研究では、地中海食がテロメアの長さに好影響を与えるという結果もあります。

小麦グルテンとそのリスク

ただし、地中海食ではパンやパスタなど小麦を多く含む食品が使われるため、グルテン関連の障害に注意が必要です。特に、小麦アレルギーやセリアック病を抱える人々にとってはリスクが増大する可能性があります。

他の食事法との比較

地中海食は、低脂肪食や低炭水化物食と比較されることが多いですが、体重の変化に関しては同等の効果が見られることが変わらない特徴です。短期間では低炭水化物食が体重減少に寄与しますが、長期間にわたると地中海食との有意差はありません。また、血糖値の管理においては、地中海食がより効果的であることが示されています。

地中海食の歴史

地中海食の概念は1960年代に提唱され、特にギリシャのクレタ島と南イタリアの食生活がモデルとされています。最初に評価されたのは、アメリカのアンセル・キーズ博士による1970年の研究によってであり、地中海食がもたらす健康的な影響が多くの人々に知られることになりました。地中海食は、その豊かな脂肪の摂取にもかかわらず、心血管疾患のリスクが低いという点で「フレンチパラドックス」とも関連しています。

地中海食はその健康効果だけでなく、食文化としても重要な役割を果たしています。多様な食材や調理法が生まれ、地域ごとの特色が光ります。これにより、食を通じての交流や理解が深まること期待されているのです。

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