地天

地天（じてん）

地天は、仏教、特に密教において信仰される天部の神の一尊であり、十二天の一つに数えられます。サンスクリット語では「Pṛthvī（プリティヴィー）」といい、音写では「鉢羅体吠」などと表記されます。大地を司る女神であり、その起源は古代インドの地母神信仰にあるとされています。

地天の神格

地天は、別名「堅牢地神（けんろうじしん、けんろうじじん）」とも呼ばれます。一般的には男神として描かれることが多いですが、古くは女神として信仰されており、「阿娑縛抄」などの文献にもその記述が見られます。仏教では、釈迦が菩提樹の下で悟りを開いた際、地中から出現し、その悟りを証明したという逸話も残されています。

地天の姿

地天の姿は、経典によって様々に描かれていますが、多くは二本の腕を持ち、特定の持物を持たない姿で表現されます。また、后を伴う姿で描かれることもあります。

胎蔵界曼荼羅: 胎蔵界曼荼羅では、外金剛部院に男神と后が並んで配置されています。男女ともに女形をしており、男神は左手に鮮やかな花を盛った鉢を持っています。この鉢は大地を象徴し、鉢に盛られた花は、万物を生成する徳を表しているとされています。
女神像: 女神像は、右手を心臓に当て、左手を股に当てる姿で描かれることが多いです。『覚禅抄』には、雲中に座す姿で描かれている例もあります。その他、様々な異形があることが知られています。

地天の供養

密教では、地天を供養する儀式（地天供）を行い、地鎮の法を修します。

金光明王経における地天

『金光明王経』の八堅牢地神品には、地天が資材、珍宝、伏蔵、神通力、長寿の妙薬を授け、病気を治癒する力を持つと説かれています。また、怨敵を降伏させ、異論を鎮める力も持つとされています。これらの功徳を得るためには、清浄な場所で道場を設け、沐浴し、清潔な衣をまとい、草座に座って供養を行うと良いとされています。特に、白月八日に供養を行うのが良いとされています。

脚注

[参考文献]

『仏像図典』
『密教辞典』

関連項目

仏の一覧 (このリンクは例です)
地蔵[[菩薩]] (このリンクは例です)
地母神 (このリンクは例です)
地主神 (このリンクは例です)
* プリティヴィー (このリンクは例です)

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