十二天

十二天とは

十二天（じゅうにてん）は、仏教の護法善神である「天部」の神々12種類を指し、特に衛士たちである八方天（東西南北とその間）に関連しています。密教においては、四天王とともに重要な存在と見なされています。十二天は、八方を守る八方天に加え、天地や日月を代表する神々を足して総称される概念です。

起源

この「天」という概念は、実際には仏教以前のインド神話やバラモン教の信仰が影響を及ぼしています。これらの神々が仏教の中に取り込まれた結果、保護の役割を果たす善神としての位置づけがなされたのです。十二天は、八方を担当する八方天に、天地を司る二天と日月を司る二天を追加する形で成立しました。

十二天の一覧

四天王の中で、四方を守る天神たちで構成される十二天の中には、北を司る毘沙門天（四天王では多聞天に相当する）のみが一致しています。さらに、日天スーリヤと月天チャンドラは、天体を司る九曜にも位置しています。

日本における十二天の作品

日本では平安初期の9世紀から十二天に関する作品が作られてきました。特に、方角を捍衛する「護方神」としての役割が色濃く、彫像よりも画像が多く残されています。これらの神々は、修法や儀式を行う道場の保護神として、掛軸や屏風に描かれてきました。

例えば、京都国立博物館に所蔵される十二天の画像（平安後期、大治2年、1127年）は、各尊が掛軸に描かれており、王朝風の美しい仏画の代表作として知られています。この作品は、宮中での伝法灌頂に使用されました。さらに、奈良・西大寺に保存されている国宝の十二天画像は、9世紀に描かれたもので、日本最古のものであると言われています。

西大寺本では、各尊が敷物の上に座しているのに対し、同時代の別の作品では水牛や亀などの座に乗って描かれるなど、表現方法が多様です。六曲屏風に立像の形で表現された十二天像も多く存在し、これは密教の重要な儀式を守るために制作されたものです。特に名高いのは、東寺蔵の鎌倉時代の作品です。

また、十二天は曼荼羅の一部としても登場し、両界[[曼荼羅]]の胎蔵曼荼羅や安鎮法で使用される十二天曼荼羅に見ることができます。彫像としては愛知県蒲郡市の無量寺に保存されている木製の十二天像が特に珍しい例です。さらに、京都国立博物館には平安後期の十二天面もあり、平安時代の伝法灌頂儀式での使用例があります。

結論

十二天は仏教において多角的な役割を持つ重要な神々です。その保護の役割は、さまざまな文化的な形で日本に受け継がれており、特に工芸や宗教儀式においてその存在感を放っています。各作品や信仰の形が相まって、現代における十二天の認識はさらに深まっています。

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