坂東彌十郎

坂東 彌十郎

坂東彌十郎（ばんどう やじゅうろう）は、1956年5月10日に東京に生まれた日本の歌舞伎役者です。屋号は大和屋を持ち、定紋は三ツ大で、替紋は花勝見です。彼の本名は本間寿男（ほんま ひさお）で、業務提携先は松竹エンタテインメントです。映像作品にも出演し、歌舞伎だけでなく多様なジャンルでの活躍を見せています。叔父には八世坂東三津五郎や十四世守田勘彌がいます。彼の兄は関西歌舞伎で活動した二代目坂東吉彌であり、長男の坂東新悟も歌舞伎の道を選んでいます。

来歴

彼は坂東好太郎の三男として生まれ、千代田区立麹町小学校の後に暁星中学校に進学しました。子供の頃から背が高く、「サンマ」と呼ばれることもあり、演劇活動には積極的でした。父が映画俳優から歌舞伎に戻った際、彼は伯父たちと共に稽古を手伝いながら、歌舞伎の世界に入る決意をしました。元々歌舞伎俳優を目指していた彼は、1973年に歌舞伎座で初舞台を果たし、その際に坂東弥十郎の名義を名乗りました。

しかし、1975年には急逝した八世坂東三津五郎や十四世守田勘彌の死を受けて、多くの困難に直面します。その影響で役がつかず、実家に戻った彼は一時的に一般演劇に参加していました。父の死後には、三代目市川猿之助の指導を受け、門下に移籍しました。

1978年には名題昇進を果たし、猿之助一座に参加、様々な役柄を担当し続けます。1998年には真山青果賞奨励賞を獲得し、さらなる躍進を遂げました。また、オペラ「コックドール」の演出助手や坂東玉三郎の「夕鶴」の演出を手がけ、歌舞伎の枠を越えた表現活動を展開しました。国際的な舞台にも興味を持ち、十八世中村勘三郎による「平成中村座」に参加し、2003年にはニューヨーク公演も成功させました。

2014年には長男と共演した自主公演「やごの会」を立ち上げ、2016年にはフランスやスイス、スペインでのヨーロッパ公演を行いました。

受賞歴

坂東彌十郎は1984年に歌舞伎座優秀賞を受賞し、1998年には歌舞伎座賞なども獲得。その後、2001年には重要無形文化財に認定され、伝統歌舞伎保存会のメンバーとしても活動しています。

人物

彼は183cmの長身という特異な体形を活かし、その存在感を持って強い演技を展開しています。趣味には海外旅行があり、特にヨーロッパを好んで訪れる彼は、英語やフランス語に堪能で、歌舞伎の国際的な普及に努めています。また、俳号「酔寿」を持ち、俳句の創作にも積極的です。

出演歴

坂東彌十郎は多くのテレビドラマや映画、シネマ歌舞伎にも出演しています。『暴れん坊将軍』や『水戸黄門』、『鎌倉殿の13人』など、様々な作品で視聴者を魅了してきました。また、Netflixのドラマやシネコン作品にも登場し、幅広いジャンルでの活動を展開しています。300を超える舞台経験も持ち、歌舞伎のニュージェネレーションを担う重要な存在として注目されています。

このように、坂東彌十郎は歌舞伎の伝統を受け継ぎながら、新たな挑戦を続ける俳優として、日本だけでなく世界にもその名を知らしめています。

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