坂祝バイパス

坂祝バイパス

坂祝バイパスは、岐阜県加茂郡坂祝町大針を起点とし、各務原市鵜沼東町に至る、延長7.6キロメートルの国道21号の重要なバイパス道路です。この道路は、国土交通大臣指定に基づく地域高規格道路「岐阜南部横断ハイウェイ」の整備区間の一部として位置づけられています。

整備の背景

本バイパスが計画・整備されることになった背景には、従来の国道21号における様々な課題がありました。美濃加茂市から各務原市に至る区間の旧道は、片側1車線の合計2車線構造であり、通過する住宅地や市街地、さらには木曽川とJR高山本線に挟まれた地形的な制約から、道路を拡幅することが極めて困難でした。加えて、この区間はカーブが多く線形が悪いうえ、美濃加茂市と各務原市を結ぶ主要な幹線道路であったため、日常的に交通量が集中し、慢性的な交通渋滞が発生していました。

また、旧道には大雨や地震などの自然災害に対して脆弱な箇所や、夜間の交通騒音が環境基準（要請限度）を超えている箇所も存在していました。これらの課題は、地域住民の生活環境や交通の安全性、定時性に深刻な影響を与えていました。坂祝バイパスは、こうした従来の道路が抱える問題を解消し、交通の円滑化、走行安全性の向上、沿線環境の改善などを目的として整備が計画されました。

沿革

坂祝バイパスの整備は、長期にわたる計画と事業推進を経て実現しました。最初の調査が開始されたのは1969年度（昭和44年度）のことです。その後、1987年度（昭和61年度）には、事業区間全体となる7.6キロメートルについて都市計画が決定されました。

事業化は段階的に進められ、まず1990年度（平成2年度）に坂祝町勝山から各務原市鵜沼東町までの4.3キロメートル区間が事業化され、岐阜国道事務所が担当することになりました。この区間では、1999年度（平成11年度）から本格的な工事が着手されています。一方、残りの坂祝町大針から勝山までの3.3キロメートル区間は、2006年度（平成18年度）に事業化され、多治見砂防国道事務所が担当することになりました。

開通についても、完成した区間から順次供用が開始されました。2009年（平成21年）3月20日には、先行して事業化された勝山インターチェンジから鵜沼インターチェンジまでの4.3キロメートル区間が、暫定2車線で開通しました。続いて2016年（平成28年）3月26日には、坂祝町大針インターチェンジから勝山インターチェンジまでの3.3キロメートル区間も暫定2車線で開通したことにより、坂祝バイパスは計画された全線が開通しました。

全線開通後、2018年（平成30年）4月1日には、並行する従来の国道21号のうち、美濃加茂市御門町から各務原市鵜沼東町までの区間が岐阜県へ移管され、岐阜県道207号各務原美濃加茂線となりました。これにより、坂祝バイパスが新たに国道21号の本線、すなわち現道として位置づけられています。

構造と効果

坂祝バイパスは、全線7.6キロメートルが暫定的ながら2車線で供用されています。将来的には4車線化も視野に入れた構造となっています。本バイパスの開通により、従来の国道21号が抱えていた交通渋滞が大幅に緩和され、所要時間の短縮と定時性の向上が実現しました。また、線形の改善により走行安全性が向上し、沿線地域における騒音問題の軽減にも寄与しています。さらに、災害発生時における代替路としての機能も強化され、地域の交通ネットワークの信頼性が向上しています。坂祝バイパスは、岐阜県南部の地域間連携を強化し、物流や観光の活性化に資する重要なインフラとして、その役割を果たしています。

（インターチェンジについては、特筆すべき情報が限られているため、具体的な記述は割愛します。）

関連項目として、地域高規格道路一覧や、旧国道21号にあたる岐阜県道207号各務原美濃加茂線が挙げられます。事業および管理に関する情報は、担当した国土交通省の岐阜国道事務所および多治見砂防国道事務所が提供しています。

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