売却

売却（Divestiture or Divestment）とは

売却とは、一般的に「売り渡す」という意味を持つ言葉ですが、ビジネスの世界では、特に企業が事業の一部を他社に譲渡することを指す場合が多く用いられます。近年、企業の成長戦略や事業再編の一環として、この「売却」が注目されています。

M&Aと売却

企業が他社の一部を買収する行為は「企業買収」や「投資」と呼ばれ、近年では「M&A」（Merger & Acquisition：合併・買収）として、企業成長戦略の重要な要素となっています。このM&Aのプロセスにおいて、企業の売却はしばしば行われます。また、企業がその一部を所有権を持ったまま独立した会社とする「スピンオフ」という手法も存在します。

売却の理由

企業が事業の一部を売却する理由は多岐にわたります。

事業の集中と選択: 企業が注力したい分野から外れた事業を売却し、経営資源を集中させるため。特にコングロマリット企業で多く見られます。
資金調達: 事業売却によって得た資金を、新たな事業展開や既存事業の強化に充てるため。
独占禁止法の規制: 特定の事業分野で独占的な地位にあるとみなされた場合、独占禁止当局から事業の一部を売却するよう求められることがあります。
マネジメント・バイアウト（MBO）: 事業の経営陣が、その事業の所有権を買い取る場合。
社会的責任: 環境問題への対応など、社会的な圧力によって事業の売却を余儀なくされる場合があります。
後継者問題: 個人経営の企業で後継者がいない場合、事業を他社に譲渡する手段として売却が選択されることがあります。

近年の売却の動向

近年では、特に環境問題への意識の高まりから、化石燃料関連事業の売却（Fossil fuel divestment）が注目されています。これは、地球温暖化対策の一環として、化石燃料への投資を控える動きが広がっているためです。また、企業の社会的責任（CSR）を重視する観点から、環境や社会に悪影響を与える事業の売却も進められています。

参照項目

M&A（合併・買収）
企業の社会的責任（CSR）
金融経済学
売買
化石燃料利用停止運動（Fossil fuel phase-out）
化石燃料関連の売却（Fossil fuel divestment）

まとめ

売却は、企業がその事業ポートフォリオを最適化し、持続的な成長を目指す上で重要な戦略です。単なる事業の切り売りではなく、企業の将来を見据えた戦略的な意思決定として、売却はますますその重要性を増していくでしょう。

外部リンク

* Divestiture (Cambridge Dictionary): The act of selling something, especially a business or part of a business, or of no longer investing money in something.

もう一度検索