夏目甕麿

夏目 甕麿について

夏目甕麿（なつめ みかまろ、1773年6月24日 - 1822年6月23日）は、江戸時代後期に活躍した国学者です。彼は遠江国浜名郡白須賀（現在の湖西市）で、酒造業を営む名主の家に生まれました。幼名は小八郎で、後に名前は英積と名乗ります。通称は小八や嘉右衛門と呼ばれ、号は萩園など多様でした。

甕麿は、名主職を1790年に継承し、1797年には内山真龍門に学び始めます。翌年には本居宣長の門下に入ります。宣長が亡くなった1801年には、本居春庭に学び、さらに本居大平と兄弟のような関係を持つようになりました。この時期の甕麿は、国学に注力し、勤勉に学んでいたとされています。

1814年には隠居生活に入りますが、その後も地名に関する語学的な研究を続けました。そして1816年には『駿河国号考』という著作を発表しました。この作品は地名研究の一環として、地域における言葉の起源や変遷について論じられています。文政元年には『鈴屋大人都日記』の出版を支援しましたが、結果として自らの資産が大幅に減少することになりました。

その後の甕麿は、近畿地方の山陵を研究するため、岸和田、大坂、昆陽（現在は伊丹市）などを旅もしました。彼はこの地域での地名や歴史について、さらなる知見を深めていったのです。旅を重ねることで地域に根ざした文化や風習に触れ、その特徴を捉えることに努めたのでしょう。

しかし、甕麿は文政5年に不幸な事故に遭い、昆陽池で遊んでいる際に溺死してしまいました。月を水面から取ろうとしたところ、思わぬ事態になったと伝えられています。享年50歳という若さでの急逝は、時代の文化や学問に対する彼の貢献を考えると非常に悲しいことです。

彼の墓は、三河吉田の普門寺と摂津伊丹の正覚院にあります。甕麿の著作には『吉野乃若菜』や『万葉摘草』などがあり、国学に関する彼の深い思索や知識を後世に伝えています。特に地名研究は、今もなお地域文化の理解に寄与している重要なものといえるでしょう。彼の友人である司馬江漢との交流も、彼の学問に影響を与えたと考えられています。

甕麿の人生は、独自の視点と深い知識をもって国学の発展に寄与したことを示しており、現在でも多くの人々に評価されるべき学者であったと言えるでしょう。

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