大分県立図書館

大分県立図書館：歴史と建築の軌跡

大分県立図書館は、大分県大分市に位置する、九州最大級の県立図書館です。その歴史は古く、1902年、大分県共立教育会附属大分図書館として創設されました。その後、福沢記念図書館を経て、1931年に県立図書館となります。幾度かの移転を経て、1966年、建築家磯崎新設計による新図書館が開館しました。この旧図書館は、同年の日本建築学会賞を受賞した名建築として知られています。

旧大分県立図書館：磯崎新の初期代表作

旧図書館は、外部に突き出した特徴的な梁と、巧みに取り入れられた自然光が印象的な建物でした。正方形の断面を持つ中空状の梁は、図書館の成長可能性を象徴的に表現しています。内部空間は、ロビーのトップライトから差し込む光と、閲覧室の水平窓からの光のコントラストが美しく、来館者に心地よい空間を提供していました。この建築は、2003年にはDOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築にも選定されています。現在はアートプラザとして改装され、市民ギャラリーなどとして活用されています。

旧大分県立図書館建築概要

設計：磯崎新／磯崎新アトリエ
竣工：1966年6月
敷地面積：3,686.7m²
建築面積：1,607.9m²
延床面積：4,341.6m²
構造：RC造
規模：地上3階、地下1階
用途：図書館（現：アートプラザ）
受賞：日本建築学会賞（1966年）

現大分県立図書館：豊の国情報ライブラリーの中核

旧図書館が手狭になったことから、1995年2月、現在の場所に新たな図書館が建設されました。この建物は、大分県立先哲資料館や大分県公文書館とともに、複合文化施設「豊の国情報ライブラリー」を構成する重要な施設です。設計は、旧図書館と同じく磯崎新が担当しました。

特徴的なのは、15m四方の吹き抜けの玄関ホールと、「百柱の間」と呼ばれる大閲覧室です。68m四方の広大な空間に、7.5m間隔で100本の柱が林立するこの閲覧室は、圧巻のスケール感を誇ります。この建物は、日本図書館協会建築賞を受賞しています。

現大分県立図書館建築概要

設計：磯崎新／磯崎新アトリエ
竣工：1995年2月
敷地面積：15,410.15m²
建築面積：6,669.24m²
延床面積：23,002.22m²
構造：SRC造（一部RC造）
規模：地上6階、地下1階
用途：図書館
受賞：日本図書館協会建築賞（第15回）

大分県立図書館の規模と利用状況

大分県立図書館は、九州の県立図書館の中で最大規模を誇り、蔵書数は約110万冊（2012年3月末時点）、年間貸出冊数は約108万冊（2011年度）に上り、全国でもトップクラスの利用状況です。多くの県民にとって、重要な学習・情報拠点となっています。

まとめ

新旧両図書館を通して、建築家磯崎新の設計思想と、大分県における図書館の歴史を垣間見ることができるでしょう。現在の大分県立図書館は、地域住民にとって貴重な文化資源であり、これからも情報発信の中心として、その役割を果たしていくことでしょう。

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