大津京駅

大津京駅：歴史と発展を刻む湖西線の要所

大津京駅は、滋賀県大津市皇子が丘に位置する西日本旅客鉄道（JR西日本）湖西線の駅です。駅番号はJR-B29。近江国の歴史と自然に囲まれたこの駅は、長い歴史と幾多の変遷を経て、現在では湖西線における重要な拠点としての役割を担っています。

開業から現在まで：変遷の歴史

1974年、湖西線山科～近江塩津間の全線開通と同時に「西大津駅」として開業しました。当初は旅客のみの扱いでしたが、国鉄分割民営化（1987年）を経てJR西日本の駅となりました。その後、自動改札機（1998年）やICOCA（2003年）の導入など、利便性の向上に向けた取り組みが続けられてきました。

注目すべきは、2008年の駅名変更です。「西大津」から「大津京」への改称は、長年にわたる地元住民の熱意と粘り強い活動の賜物でした。当初は「北大津」という仮称も検討されましたが、大津市からの強い要望、地理的条件、そして簡潔な略称などを考慮し「西大津」が採用されました。しかし、歴史的、文化的な観点から「大津京」への改称を求める声が次第に高まり、大津市議会や市民団体による長期間にわたる改称運動が展開されました。地元自治体による多額の費用負担などの課題もありましたが、最終的に2008年に駅名変更が実現しました。この駅名変更を巡る経緯は、地域住民の強い郷土愛と、歴史への深い関わりを示す出来事と言えます。

さらに、特急「サンダーバード」の停車廃止（2011年）、京阪神緩行線列車の乗り入れ廃止（2016年）、駅ナンバリングの導入（2018年）など、時代とともに変化を遂げてきました。みどりの窓口は2020年に閉鎖され、みどりの券売機プラスに置き換えられました。

駅構造と利用状況

大津京駅は、島式ホーム2面4線の高架駅で、待避設備を備えています。改札口は2階、ホームは3階にあり、エレベーターやエスカレーターも設置され、バリアフリーにも配慮されています。ホームの長さは320mで15両分の長さがありますが、現在使用されているのは12両分です。

利用状況は湖西線内では山科駅に次いで多く、湖西線単独駅では最も多い乗降客数を誇ります。これは、駅周辺の開発や、大津市の中心地としての役割を反映していると言えるでしょう。

駅周辺の環境

駅周辺は、商業施設や公共施設が充実しています。2017年には駅西側の高架下に飲食店が開業し、利便性がさらに向上しました。また、京阪石山坂本線の京阪大津京駅も比較的近く、複数の交通手段を利用できます。

周辺には、大津市立皇子山総合運動公園、皇子山陸上競技場、皇子山球場、皇子が丘公園などのレクリエーション施設のほか、大津市役所、大津市歴史博物館、弘文天皇陵などの史跡・文化施設も点在しています。商業施設としては、イオンスタイル大津京、BRANCH大津京、MEGAドン・キホーテ大津店などがあり、生活利便性も高い地域です。

バス路線は、かつて近江鉄道バスが運行していましたが、現在では廃止されています。

アクセスと今後の展望

大津京駅は、JR湖西線の新快速、快速、普通列車が停車します。近隣の比叡山坂本駅や山科駅とを結ぶ重要な役割を担っており、地域住民の生活の足として、また観光客の玄関口としても重要な存在です。今後ますますの発展が期待されます。

参考文献

川島令三『【図説】日本の鉄道 東海道ライン 全線・全駅・全配線 第6巻 米原駅 - 大阪エリア』講談社、2009年
『都市鉄道完全ガイド 関西JR編 2021-2022年版』双葉社、2021年

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