大盗賊

『大盗賊』について

『大盗賊』は1963年10月26日に公開された日本の時代劇映画で、製作は東宝撮影所、配給も東宝が担当しました。この映画はカラーで、東宝スコープで撮影されています。また、同時上映作品として『クレージー作戦 くたばれ!無責任』が存在しています。

映画の概要

本作は、戦国時代の貿易商人である菜屋助左衛門を主題にしていますが、歴史的な事実よりもアクションや魔法が重視され、破天荒な冒険活劇として展開されます。脚本は特撮作品に多く関わっていた木村武と関沢新一が共同で執筆しました。助左衛門の豪放磊落な性格は、主演の三船敏郎のイメージが色濃く反映されています。また、英題は『LOST WORLD OF SHINBAD』であり、和製アラビアンナイトを意識した作品であることが伺えます。

制作に関しては、企画段階で一時制作が保留されました。黒澤明が監督した『赤ひげ』の撮影に三船が長期間拘束されるため、その前にもう一本の主演作を制作することが決定しました。当初は岡本喜八が監督予定でしたが、脚本が間に合わなかったため、本作が急遽制作されることになりました。このため、大きな特撮作品である『海底軍艦』や『モスラ対ゴジラ』の制作にも影響が及んだとされています。

特撮技術の革新

映画『大盗賊』では、1966年に導入されたオックスベリー社の光学合成機「オプチカルプリンター1900シリーズ」が使用され、多くの魔法や仙術の描写で合成技術が活用されました。特に大凧のシーンでは、三船をミニチュアセットに合成する工夫が見られます。また、船舶の多くもミニチュア特撮で表現されており、その制作風景はアメリカの雑誌『LIFE』の表紙に掲載されるほど注目を浴びました。

キャスト

映画のキャストには、呂宋助左衛門役の三船敏郎をはじめとして、揚藩役の佐藤允、久米地仙役の有島一郎、増尾役の草笛光子など多彩な役者が出演しています。また、弥々姫役の浜美枝や妖婆役の天本英世、羅刹王役の志村喬といった印象的なキャラクターたちもストーリーを盛り上げています。

スタッフ

本編において監督を務めたのは谷口千吉で、製作には田中友幸や角田健一郎が名を連ねています。音楽を担当するのは佐藤勝であり、撮影を斎藤孝雄が行いました。特撮監督は円谷英二が担当し、映像のクオリティーを大きく向上させる要因となりました。

その後の発展

『大盗賊』の成功を受けて、1966年には本作とほぼ同じスタッフ・キャストによる姉妹作品『奇巌城の冒険』が制作され、さらなる冒険物語が描かれました。

このように、『大盗賊』は日本の時代劇映画における特撮とアクションを融合させた作品として、多くの観客に愛され続けています。歴史的な背景を持ちながらも、夢と冒険が詰まった魅力的な映画となっているのです。

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