大阪府立狭山池博物館とは？意味をやさしく解説

大阪府立狭山池博物館

大阪府大阪狭山市にある大阪府立狭山池博物館は、1400年の歴史を持つ日本最古のダム式ため池、狭山池のほとりに佇む博物館です。単なる博物館としてだけでなく、講演会やイベントの開催地、生涯学習の拠点として、大阪府南中部エリアの文化を支える重要な役割を担っています。

概要

狭山池博物館は、狭山池と一体化した親水空間を有する、土地開発史を専門とする珍しい博物館です。土木遺産の保存と公開を目的として、2001年 3月28日に開館しました。その特徴は、建物内部に巨大な堤の断面を丸ごと移築・展示している点にあります。このユニークな展示設計は、乃村工藝社が手掛けました。

常設展示室は、時代順に7つのゾーンに分かれており、水と大地との関わりを狭山池と出土文化財を中心に分かりやすく展示しています。また、東アジア地区の土地開発に関する資料・情報の収集・公開も行っており、東アジアの土地開発史研究機関としての役割も担っています。

博物館の建物は、建築家・安藤忠雄氏によって設計されました。コンクリート打ち放しの巨大な直方体は、地域のランドマークとして、狭山池全体から見渡すことができます。エントランスから建物入口にかけては水庭が設けられ、壁面には滝が流れ落ちるなど、訪れる人にやすらぎを与える親水空間となっています。建物内部には、巨大な堤の断面や取水塔が展示され、吹き抜けを多用した開放的な空間が広がります。

沿革

1988年：西除川・東除川流域の治水対策として、狭山池に洪水調節機能を持たせる治水ダム化工事が開始。工事中に多数の出土品が確認されます。
1990年：歴史的ダム保全事業に採択。
1994年6月～1997年3月：設計期間。
1997年7月～2001年3月：施工期間。
2001年 3月28日：大阪府の管理運営として開館。
2002年：狭山池公園が完成。
2009年4月：大阪府・大阪狭山市・狭山池まつり実行委員会の三者協働運営となる。
2009年 6月30日：大阪狭山市立図書館北側にあった大阪狭山市立郷土資料館が本館2階に移転。

施設

常設展示室
第1ゾーン：狭山池への招待 - 高さ約15m、幅約60mの堤の断面を移築展示。
第2ゾーン：狭山池の誕生 - 飛鳥時代と江戸時代の樋を展示。
第3ゾーン：古代の土地開発と狭山池 - 奈良時代の樋を展示。
第4ゾーン：中世の土地開発と狭山池 - 重源狭山池改修碑を展示。
第5ゾーン：近世の土地開発と狭山池 - 江戸時代の樋や木製枠工、西樋取水部材を展示。
第6ゾーン：明治・大正・昭和の改修 - 取水塔を移築展示。
第7ゾーン：平成の改修 - 洪水調整機能と役割について解説。
第8ゾーン：どぼくランド - ダム建設など土木事業の紹介。
特別展示室
大阪狭山市立郷土資料館
カフェテラス　Sayama History Cafe

文化財

重要文化財（国指定）

大阪府狭山池出土木樋・重源狭山池改修碑（考古資料）

飛鳥時代から江戸時代にかけての樋や西樋取水部材、重源狭山池改修碑などからなる一括遺品です。重源狭山池改修碑には、重源による狭山池改修の経緯や内容が刻まれており、建仁二年（1202年）の年紀があります。

大阪府指定文化財

有形文化財
狭山池石樋蓋（考古資料）

大阪狭山市指定文化財

有形文化財
狭山池中樋放水部の石棺群 7基（考古資料）

利用情報

入館料：無料
開館時間：10時 - 17時（入館は16時30分まで）
休館日：毎週月曜日（月曜日が祝休日の場合は翌日）、年末年始(12月28日～1月4日)。毎年2月中旬に1週間程度の閉館有り。

交通アクセス

南海高野線大阪狭山市駅から徒歩約10分
大阪狭山市循環バス（コミュニティバス）「狭山池博物館前」下車
国道310号「池の原中」交差点より北東へ約700m
駐車場：大型バス・車いす利用者用の無料駐車場あり（要事前連絡）。一般車両は狭山池の北堤駐車場（無料）を利用。

その他

桜

狭山池は桜の名所としても知られ、博物館敷地を含む池周辺には約1,300本の桜が植樹されています。早咲きのコシノヒガンをはじめ、様々な種類の桜が植えられているため、比較的長い期間、桜を楽しむことができます。

大阪府立狭山池博物館