太平道

太平道について

太平道は後漢末の中国北部において広く信仰された道教の一派です。この宗教団体は、教典として『太平清領書』を持ち、その創立者は張角です。黄巾の乱の際、教団は激しい抵抗運動を展開しましたが、戦局の悪化とともに張角をはじめとする指導者の死により消え去ってしまいました。

太平清領書

『太平清領書』は太平道が信仰の中心としていた文献です。伝説によれば、この書物は於吉が曲陽の泉水の場所で得た神からのメッセージとして知られています。残念ながら、この書物は現在では失われているものの、その教義は後に道教の重要な経典『道蔵』の中の『太平経』に引き継がれたと考えられています。

于吉は五行や医学、予言に秀でた人物で、病人に『太平清領書』を朗読し、符水を与える治療を行っていました。彼の教えは民衆から高く評価され、また後漢の支配層からも尊敬を受けるようになりました。彼が死後、神格化されて祀られたことは、太平道における神仙思想の影響が伺えます。

教義と信念

『太平清領書』の内容は、完全には明らかでありませんが、後の『太平経』を通じていくつかの教義が推測されています。その中でも重要な点は、以下のようなものでした。

• - 吉凶や禍福は、個人の行動によって決まるという考え。
• - 善行を積むことが長寿に繋がるとの信念。
• - 身体を離れることで霊的存在になる「尸解」という概念。
• - 静かな環境で内面的な反省を促すこと。

また、後漢書『襄楷伝』の記録には、『太平清領書』に関する言及もあり、陰陽や五行に焦点を当てた教えが示されています。

教団の設立

教団は霊帝の時代に張角によって設立され、彼は自らを「大賢良師」と称しました。教団の名称は教典『太平清領書』に由来していると考えられています。張角は、病人の悔い改めを促し、符水を与えて治療を行いました。その治癒の成否は信仰の強さに依存するとされました。

教団の活動が盛んになる中で、民衆の生活は困窮し、農民は小作人や流民に転落するなどの状況が続きました。こうした背景から、新たな信仰の場を求める民衆が太平道へと集まっていくのです。

黄巾の乱

黄巾の乱は、太平道の信者たちによる初の大規模な反乱です。張角らは緻密な計画のもと、武装蜂起をしました。彼らは「蒼天已死、黄天當立」というスローガンを広め、反乱を拡大させました。184年3月5日が蜂起の日とされていますが、計画が事前に露見したため、日程は繰り上げられる結果となりました。

信者たちは黄巾を頭に巻いたことから、この反乱は「黄巾の乱」と呼ばれました。最終的には、華北の地域での抵抗が続きましたが、教団は黄巾の乱とともに消亡したと考えられています。ただし、信徒の中には五斗米道へと移った者もいるでしょう。

結論

太平道の影響は宗教に留まらず、後の道教思想にも色濃く残りました。『太平経』は今日でも道教において重要な位置を占めており、太平道の教えは信仰の新たな基盤を形成しています。以上のように、太平道は騒乱の時代にあっても、信者たちに希望と信仰の支えを提供したのです。

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