太田川橋

太田川橋：広島の交通と歴史を繋ぐ橋梁群

広島県広島市を流れる太田川には、数多くの橋が架けられています。その中でも「太田川橋」の名を冠する橋梁群は、地域の交通史を語る上で重要な存在です。本稿では、太田川橋の歴史、構造、そして周辺環境との関わりについて、詳細に解説します。

太田川橋の歴史：明治期からの変遷

太田川流域は、古くから出雲石見街道（別名：可部街道）が通る要衝であり、山陽道と山陰道を繋ぐ重要な役割を果たしていました。近代に入り、街道は国道54号として整備され、JR可部線が敷設されることになります。現在の国道54号の「太田川橋」と「新太田川橋」、JR可部線の「太田川橋梁」は、この近代以降に建設された橋梁です。

最初の太田川橋は1887年（明治20年）、木橋として架設されました。その後、1904年（明治37年）、1923年（大正12年）、1957年（昭和32年）と幾度も架け替えが行われ、現在の橋へと至ります。大正時代に造られた旧橋は、現在の橋の架設時に三次市に移設され、「祝橋」として現在も残されています。また、国道54号佐東バイパス整備に伴い、1980年（昭和55年）には新太田川橋が併設されました。1988年（昭和63年）には、安佐大橋の下流側に山陽自動車道の太田川橋梁が開通しました。

国道54号の太田川橋は、下流側が市内方面、上流側が可部方面に向かう構造で、歩道は両橋の外側にそれぞれ設置されています。これらの橋梁は、時代と共に進化し、広島市の発展を支えてきました。

各橋梁の諸元と構造

国道54号 太田川橋:

橋種：下路式カンチレバートラス橋
橋長：323.1m
幅員：9.0m
設計：中国四国地方建設局太田川工事事務所
施工：上部工 - 新三菱重工業、下部工 - 大本組

国道54号 新太田川橋:

橋種：3径間連続鋼箱桁橋 + 2径間鋼連続箱桁橋
橋長：375m
幅員：車道8.25m + 歩道2.5m

JR可部線 太田川橋梁:

橋種：多径間単純プレートガーター橋
橋長：353.37m
線数：単線

山陽自動車道 太田川橋梁:

上り線橋長：744m
* 下り線橋長：718m

JR可部線：太田川改修と路線変更

JR可部線は、1911年（明治44年）に大日本軌道広島支社によって開通しました。当初の太田川橋梁は、現在の国道54号太田川橋のすぐ下流に位置していました。しかし、キジア台風やルース台風による被害、そして太田川改修工事の影響を受け、1953年（昭和28年）に現在のルートに変更されました。この路線変更により、現在の太田川橋梁は、上八木駅から中島駅へと太田川を斜めに渡る形となりました。旧線は現在でもその痕跡を周辺に残しています。

太田川上流・下流域の橋梁

太田川上流域には中国自動車道の太田川橋梁や、旧JR可部線の橋梁などがあります。下流域には、旧太田川に架かるJR山陽本線とJR山陽新幹線の橋梁があり、太田川放水路にはJR各線と新幹線の橋梁が架かっています。2014年には太田川大橋が開通しています。これらの橋梁は、それぞれ異なる歴史と役割を担っています。

まとめ

太田川橋梁群は、明治時代からの歴史を刻み、地域の交通発展に貢献してきました。それぞれの橋梁は、時代背景や技術革新を反映しており、その構造や歴史を辿ることで、地域の変遷を深く理解することができます。これからも、これらの橋梁は、人々の暮らしを支え続ける重要なインフラとして機能し続けるでしょう。

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