奥多摩

奥多摩：東京都西部の山岳地帯の魅力

奥多摩は、東京都西部に広がる雄大な山岳地帯です。東京都西多摩郡奥多摩町を中心とした地域ですが、その範囲は周辺の山域にも及びます。本稿では、奥多摩の地名誕生秘話から、豊かな自然環境、多様な動植物、エリアの構成、観光スポット、交通手段に至るまで、奥多摩の魅力を多角的に紹介します。

奥多摩という地名の由来

1920年代、青梅鉄道の延伸計画に伴い、地域住民はさらなる延伸を鉄道会社に要望しました。その際、奥多摩地域の景勝地としての魅力を訴求する必要性から、地域を代表する名称の必要性が浮上します。

地元の有力者らによって結成された保勝会は、地域のブランド名として適切な名称を探し求めていました。ある林学者からの提案により、『奥の細道』の「奥」の字を取り入れ、「奥多摩川保勝会」と名付けられました。その後、「川」の字を省いた「奥多摩」を前面に出したキャンペーンが展開され、地名として定着していったのです。

奥多摩の範囲

奥多摩の範囲は明確に定義されているわけではありません。広義には、多摩川の水源を育む山域全体を包含し、奥秩父や大菩薩連嶺の一部と重なる解釈もあります。狭義には、雲取山と後山川を結ぶ線の東側を指すことが多いです。

奥多摩エリアのほぼ全域が東京都の水源林に指定されており、多摩川流域の渓谷美は有名です。上越や日本アルプスのような険しい渓谷とは異なり、人里に近い渓流にはわさび田や堤防、そして作業道が多く見られます。水源林に覆われた山々には、巡視路が整備されているのも特徴です。

秩父山地・関東山地に属し、広義の奥秩父に含まれる奥多摩は、秩父多摩甲斐国立公園の東部を形成しています。この国立公園は東京都、埼玉県、山梨県、長野県にまたがり、総面積は126,259ヘクタールにも及びます。そのうち、東京都が指定されている面積は35,298ヘクタールです。

奥多摩の自然環境

地形と地質

奥多摩の山々は、関東山地が関東平野に接する東南端に位置しています。多摩川水系による浸食作用によって形成されたV字谷が、この地域の地形を特徴付けています。北部、特に多摩川左岸や日原川流域は深く険しい谷と山々が連なり、南部、秋川流域は比較的明るく開けた穏やかな地形です。

地質学的には、仏像構造線を境に北部は秩父層群、南部は小河内層群、さらに南は五日市-川上構造線の南側から桂川にかけて小仏層群と、三つの地層に区分されます。

動植物

奥多摩の植生は標高によって大きく異なります。標高約800メートルまでは、ナラ、クリ、杉、ヒノキなどが優勢です。800メートルから1500メートルでは、シオジ、ブナ、シラカバ、カラマツなどが見られます。標高1500メートル以上の三頭山や雲取山周辺ではブナ林が広がり、1500メートルから2000メートルにかけては、イヌブナ、コメツガ、シャクナゲなどが混生する針広混交林となります。

奥多摩の地域区分

奥多摩エリアは、大きく4つのブロックに分けられます。

1. 日原川北岸の山々: 長沢背稜とその東側の蕎麦粒山から棒ノ折山にかけて、川苔山から本仁田山にかけての稜線
2. 雲取山から東に伸びる石尾根の山々
3. 奥多摩三山（三頭山、御前山、大岳山）を結ぶ奥多摩主脈稜線
4. 南秋川流域の山々: 笹尾根、浅間尾根、戸倉三山など

一般的に、この順に山容が険しくなり、登山行程も長くなります。

奥多摩の主要な山々

奥多摩には、数多くの山々が連なっています。以下に、いくつかの代表的な山々を挙げます。

北部: 黒山、棒ノ折山、日向沢ノ峰、川苔山、本仁田山、蕎麦粒山、天目山、七跳山、酉谷山、天祖山、水松山、長沢山、芋木ノドッケなど
中央部: 雲取山、小雲取山、七ツ石山、高丸山、日陰名栗山、鷹ノ巣山、榧ノ木山、倉戸山、六ツ石山、三頭山、月夜見山、御前山、大岳山、御岳山、日の出山など
* 南部: 笹尾根（槇寄山、笹ヶタワノ峰など）、浅間尾根（一本松、浅間嶺など）、戸倉三山（臼杵山、市道山、刈寄山など）など

奥多摩の施設と交通

奥多摩には、観光客向けの施設や交通機関が整備されています。奥多摩駅、奥多摩ビジターセンター、奥多摩湖畔公園、温泉施設、キャンプ場などが代表的な施設です。交通手段はJR青梅線、五日市線が主要なアクセス手段です。また、奥多摩周遊道路はドライブコースとしても人気があります。登山計画書の提出は、警察署や駅などで受け付けています。狩猟期には注意が必要です。

まとめ

奥多摩は、豊かな自然と歴史、そして多様な観光資源を兼ね備えた魅力的な地域です。本稿で紹介した情報を参考に、奥多摩の自然を満喫してください。

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