奥山清行

奥山清行（Ken Okuyama）

奥山清行氏は、世界を舞台に活躍する日本の工業デザイナー、カーデザイナーです。彼の名は、特に自動車業界において、フェラーリやマセラティといった名車のデザインを手掛けた人物として広く知られています。しかし、彼の才能は自動車だけに留まらず、鉄道車両、家具、ロボット、さらには伝統工芸品に至るまで、多岐にわたる分野で革新的なデザインを生み出しています。

デザインの軌跡

山形県山形市で生まれた奥山氏は、武蔵野美術大学でデザインを学んだ後、アメリカのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで更なる研鑽を積みました。その後、ゼネラルモーターズやポルシェといった世界的な自動車メーカーでキャリアを重ね、1995年にイタリアのデザイン会社ピニンファリーナに入社しました。

ピニンファリーナでは、チーフデザイナーとして、フェラーリ・エンツォフェラーリやマセラティ・クアトロポルテなど、数々の名車のデザインを統括。特にエンツォフェラーリは、「イタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした男」として、その名を知らしめました。2004年には同社のデザインディレクターに就任し、2006年に独立。

KEN OKUYAMA DESIGN設立

独立後、奥山氏はKEN OKUYAMA DESIGNを設立し、CEOとして、自動車、鉄道車両、インテリア、工業製品など、幅広い分野のデザインを手掛けています。山形に工場と店舗を構え、東京の青山やロサンゼルスにも拠点を展開しています。

多岐にわたるデザインワーク

奥山氏のデザインは、その独創性と機能美で高く評価されています。自動車デザインでは、Kode7やKode9など、独自のスポーツカーを開発・製造・販売する一方、鉄道車両デザインでは、新幹線E6系・E7系などのデザイン監修を手掛けています。また、農業機械の分野では、ヤンマーのトラクターのデザインを手掛け、その斬新なデザインが注目を集めました。近年では、大阪メトロのデザイン監修なども担当し、その活躍の幅は広がり続けています。

山形への想いと伝統技術の継承

奥山氏は、自身の出身地である山形での活動にも力を入れています。「地元の伝統技術を活かして付加価値の高い商品を開発し海外に展開する」という理念のもと、山形工房を立ち上げ、天童木工の家具や急須などのデザインを手掛けています。これらの活動を通じて、地域の活性化と伝統技術の継承に貢献しています。

デザイン哲学

奥山氏のデザイン哲学は、「美しさ」と「機能性」の融合にあります。彼は、単に美しいだけでなく、使いやすく、人々の生活を豊かにするデザインを目指しています。そのため、デザインのプロセスにおいては、徹底的なリサーチと試行錯誤を繰り返し、細部にまでこだわり抜きます。

社会的活動と著書

奥山氏は、デザイナーとしての活動だけでなく、教育者としても貢献しています。アートセンター・カレッジ・オブ・デザインの学部長や、国内外の大学で客員教授を務め、次世代のデザイナーの育成に力を注いでいます。また、自身のデザイン哲学やキャリアについて語った著書も多数出版しており、多くの人々にインスピレーションを与えています。

近年の出来事

2022年には、自身がデザインしたエンツォ・フェラーリで速度超過により摘発されるという不祥事がありましたが、その才能と実績は揺るぐことなく、現在も精力的に活動を続けています。

奥山清行氏のデザインは、私たちの生活をより豊かに、そして美しく彩ってくれることでしょう。彼の今後の活躍から目が離せません。

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