如宝寺

福島県郡山市に所在する真言宗豊山派の寺院で、山号を高岳山といいます。この寺は、千年以上の長い歴史を持つ古刹として知られています。

由緒

如宝寺の始まりは、大同2年（807年）まで遡ると伝わります。郡山の有力者であった虎丸長者が都より平城天皇から馬頭観音像を賜り、これを祀るために観音堂を建立したのが起源とされています。この際、笹久根上人が招かれて開眼供養を行い、実質的な開山と伝わっています。

文化財

境内には、寺の長い歴史を示す貴重な文化財が数多く残されています。

国指定重要文化財

特に重要なのは、国の重要文化財に指定されている鎌倉時代の二つの供養塔です。石造笠塔婆は承元2年（1208年）の銘があり、板石塔婆は建治2年（1276年）の銘があります。これらは東北地方に現存する供養塔としては最古級のものであり、当時の石造美術や信仰のあり方を知る上で貴重な資料とされています。

国認定重要美術品

国の重要美術品に認定された銅鐘は、その特徴的な形状から「いぼなし鐘」と通称されます。通常、鐘の上半部には「乳」（いぼ状の突起）が多数配されますが、この鐘は「乳」のあるべき位置に梵字が鋳出されています。現在の鐘は文化3年（1806年）に改鋳されたものですが、独特の意匠を持つ鐘として注目されます。

福島県指定史跡

明治時代に如宝寺の住職を務めた鈴木信教師の墓が、福島県の史跡に指定されています。鈴木師は、孤児の養育施設を設けるなど社会福祉事業に尽力し、子女の教育や地域開発にも貢献した人物として名高いです。

郡山市指定重要有形文化財

郡山市指定の文化財としては、通称「釜堂の碑」または「ニワトリ石」と呼ばれる板石塔婆があります。この板石塔婆は、削って飲むと百日咳に効くという民間信仰があり、信仰の篤さから削られている箇所が見られます。また、江戸時代の厳しいキリシタン弾圧下で信仰を守った人々のものと伝わる切支丹墓碑も指定されています。

なお、かつては明治時代に建てられた書院が国の登録有形文化財に指定されていましたが、近年の地震で被災し、現在は取り壊されています。

祭礼と年中行事

如宝寺では年間を通じて様々な行事が行われ、多くの参拝者で賑わいます。

七日堂まいり（1月6日～7日）：如宝寺最大の祭礼で、馬頭観世音の祭です。夜を徹して行われ、「馬のように願い事が速やかに成就する」との言い伝えがあり、毎年十万人規模の参拝者で賑わいます。境内やその周辺には、だるま、まさる、団子さし、宝船、つるし雛など、福を招く縁起物を扱う露店が約百軒も立ち並び、活気にあふれます。
節分会豆撒き（2月3日）：節分の日に行われる行事です。四百万字にも及ぶという大般若経の折本を、アコーディオンのように広げて読み上げる迫力ある転読会が行われます。その後、昼夜二回、太鼓の響きに乗せて、愛らしい稚児装束の子どもたちや、裃姿の来賓、年男、年女らが、豆やミカンといった縁起物を撒き、福を求める人々で賑わいます。江戸時代の二本松藩主であった丹羽家との深い縁から、豆まきの際に「鬼は外」と言わない独特の習わしがあります。
釈尊降誕花祭り大会（4月下旬）：お釈迦様の誕生を祝う行事で、稚児装束の子どもたちが参加します。
観世音夏まつり（7月16日～17日）：夏に行われる観世音菩薩のお祭りで、盆踊りなどが行われます。
施餓鬼会（8月17日）：餓鬼に施食を行う供養会です。
除夜の鐘法要（大晦日）：大晦日には、一年の締めくくりとして除夜の鐘がつかれます。

これらの行事は、地域の信仰や文化に深く根ざしており、多くの人々に親しまれています。

境内と周辺

境内には数多くの古碑が点在し、歴史の重みを感じさせます。寺院の周辺には、郡山消防署、郡山市立金透小学校、日本基督教団郡山細沼教会、福島県郡山合同庁舎、郡山税務署、福島地方裁判所郡山支部といった公共施設や、市民の憩いの場である麓山公園などが立地しています。

交通アクセス

自動車を利用する場合、東北自動車道郡山インターチェンジから車で約15分です。寺院の東側に駐車場入口があります。
公共交通機関では、JR郡山駅西口の11番バス乗り場から麓山経由のバスに乗車し、「如宝寺」バス停で下車すると便利です。所要時間は約5分ですが、バスのルートにより復路のバス停が異なる場合があります。
* JR郡山駅からは徒歩でもアクセス可能で、フロンティア通り、国道4号、麓山通りを経由しておおよそ20分程度です。

如宝寺

如宝寺

由緒

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