宝船

宝船とは

宝船（たからぶね / ほうせん）は、七福神や八仙が乗る、宝物を積み込んだ帆船、またはその様子を描いた絵のことを指します。新年の季語としても用いられ、縁起物として広く親しまれています。

宝船の描写

宝船には、珊瑚、金銀、宝石など、様々な宝物が積み込まれているとされています。そのため、宝船は非常に縁起の良い船とされ、七福神が乗船している様子を模した置物などが、お正月の飾りとして人気があります。また、宝船の帆には「寳（宝）」、「福」、「壽（寿）」など、縁起の良い文字が書かれているのが一般的です。

宝船の絵には、「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」という回文歌が添えられることもあります。この歌が書かれた宝船の絵を正月の2日に枕の下に入れて寝ると、良い初夢が見られるという言い伝えがあります。

研究

宝船図の研究は、吉海直人氏と雨野弥生氏による一連の研究にまとめられています。これらの研究では、宝船図の影印や解題が詳細に論じられています。また、寺前公基氏の研究では、屏風の裏面に貼り込まれた宝船図について考察されています。

• - 吉海直人・雨野弥生「「宝船図」の影印と解題」（「同志社女子大学日本語日本文学」十四、二〇〇二年）
• - 吉海直人・雨野弥生「五條天神蔵『寶船と五條天神宮』の翻刻と解題」（「同志社女子大学日本語日本文学」十八、二〇〇六年）
• - 寺前公基「「蘭亭曲水図屏風」裏面に貼り込まれた「宝船図」について」（「観峰館紀要」第12号、2017年）

起源

宝船の起源は、現代のような豪華なものではなく、もっと素朴なものでした。元々は、悪夢を乗せて流す「夢違え」または「夢祓え」の船が原型だと考えられています。これは、穢れを水に流すという大祓の発想に基づいています。室町時代には、節分の夜や除夜に、船の絵が人々に配られ、床下に敷いて寝た後、翌朝に集めて流したり埋めたりしていたことから、流すもの、祓うものとしての意味合いが強かったことがわかります。

鄭和の大明宝船

中国の明代には、鄭和が率いる艦隊が東南アジアからアフリカ東海岸までの大航海を行いました。この艦隊の中核をなしたのが、鄭和の大明宝船と呼ばれる巨大な木造船です。『明史』によれば、その全長は44丈（約137メートル）にも及び、小さく見積もっても約61.2メートルという巨艦でした。この船には、寄港地への贈答品として宝石や陶磁器が積まれ、帰路にはキリンやライオンといった珍しい動物が積まれていました。まさに宝船と呼ぶにふさわしい内容でした。

2006年9月には、南京で全長63.25メートルの鄭和の宝船が復元されました。

脚注

関連項目

• - ノアの方舟
• - カーゴ・カルト: 米軍が飛行機で大量の物資を輸送する様子を、現地の住民が真似て行った招福儀式。
• - 奉納船: 日本国内外で、船の模型を奉納する例があり、模型はご神体とされることもあります。

外部リンク

• - 『宝船』 - コトバンク

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