妖女伝説
『妖女伝説』は、星野之宣によるSF漫画短編集で、歴史上の人物や伝説に登場する女性たちを題材にした作品群です。1979年に『ヤングジャンプ』で「ローレライの歌」が掲載されたのを皮切りに、1980年まで同誌で不定期に掲載されました。その後、1988年からは『週刊ヤングジャンプグレート青春号』や『ベアーズクラブ』などの雑誌でも読み切り作品として発表されています。
初期の作品群は、1981年にヤングジャンプコミックスとして2巻が発売されました。その後、2003年に嶋中書店から『完全版 妖女伝説』が全2巻で刊行され、2006年にはチクマ秀版社から『妖女伝説-初期型-』が発売されています。また、2015年には小学館から『妖女伝説 SIRENS CALL OF THE LORELEI』と『妖女伝説2 QUEEN OF THE DESERT SANDS』が刊行され、初期作品の一部が再収録されています。
星野之宣は、本作の執筆中に古代史に興味を持ち始めたと語っており、それが後に『ヤマトの火』や『ヤマタイカ』などの伝奇漫画を執筆するきっかけになったとされています。特に、卑弥呼を題材にしようと軽い気持ちで古代史を調べ始めたことが、その後の作品に大きな影響を与えたと、手塚治虫、諸星大二郎との鼎談で明かしています。
以下に、収録されている主なエピソードを紹介します。
1979年の『ヤングジャンプ』1号に掲載された作品です。1902年、川辺で歌う美しい女性を目撃した少年は、彼女がローレライの伝説に登場する魔女だと信じます。酔っ払いで暴力を振るう父の死を魔女に願った少年は、その願いが叶う一方で、魔女の正体が単なる画家のモデルであることを知ります。しかし、村人たちが画家を殺し、女性を火あぶりにしたことで、少年は更なる悲劇へと進むことになります。物語のラストでは、少年がナチス党の総統アドルフ・ヒトラーとして描かれる衝撃的な展開が特徴です。
1979年3号に掲載された作品です。嵐の夜に投身自殺した娘カーミラ。半年後、看護師ジョルジアはカーミラの母親から招待を受け、城を訪問します。そこで、カーミラが吸血鬼として蘇ったという噂が立ち、村人たちが墓を掘り返します。カーミラは仮死状態だったことが判明しますが、若い牧師はカーミラを吸血鬼と断定し、滅ぼそうとします。ジョルジアは、カーミラを蘇生させようと試みますが、最終的にはカーミラは殺されてしまいます。ラストでは、ジョルジアが新たな吸血鬼になることを暗示するような展開が描かれています。
1979年5号に掲載された作品です。800年を生きてきたと語る老女・八百比丘尼を取材に来た記者とカメラマンは、彼女の不死の理由を聞きます。同じ頃、アポロ20号で月面に降り立った日系移民の榊は、何かに導かれるように行動を始めます。過去と現在が交錯する中で、比丘尼と榊の運命が交差します。
1979年7号に掲載された作品です。ギリシア貴族の末裔である女性アスパシアにエーゲ海の小島に招待された時子は、そこで古代の美術品に触れます。メドゥーサの首がはめ込まれていたとされる楯アイギスが発見され、アスパシアは嫉妬から時子をメドゥーサと見なし襲いかかります。アスパシアは海に落ち、無数のメクラウナギに襲われ、怪物の姿に変わり果ててしまいます。
1979年9号に掲載された作品です。雪女伝説をモチーフにした物語で、ヤングジャンプコミックス版には未収録でしたが、後に他の版に収録された際に「挽歌」と改題されています。
1979年12号から1980年5号まで連載された作品で、クレオパトラ、サロメ、ゼノビアという3人の女性が転生を繰り返す壮大な物語です。クレオパトラは転生するために自死し、サロメとして生まれ変わりますが、イエスとの出会いを経て悲劇的な最期を迎えます。そして、ゼノビアとして再び転生しますが、永遠に死ぬことのできない呪いに縛られていることが判明します。
1980年9号と11号に掲載された作品です。北極点上空での飛行に成功したフィンは、蜃気楼によって起こった出来事と考えます。その後の探索で、遭難した飛行船が蜃気楼だと断じて進んだ山影は、実は浮遊する飛行船の船殻であり、アムンセンも行方不明になってしまいます。
1980年13号に掲載された作品です。人形浄瑠璃の人形遣いである安彦は、「日高川入相花王」の公演で清姫の主遣いに抜擢されます。稽古に励む安彦ですが、師匠の娘である清子との縁談が破談になりかけます。最終的に安彦は清姫の情念を宿すことに成功し、公演は大成功を収めますが、その夜、劇場は火災に見舞われ、安彦は人形と共に焼死してしまいます。
1988年に発表された作品で、タイタニック号を舞台に、マタ・ハリ、トーマス・エドワード・ロレンス、グリゴリー・ラスプーチンらが登場する歴史改変SFです。タイタニック号の沈没は、Uボートによって崩された氷山が原因であったという設定になっています。
1988年から1989年にかけて発表された作品で、レオナルド・ダ・ヴィンチを主人公として、チェーザレ・ボルジアの隆盛と没落、ルクレツィア・ボルジアを描いています。
1985年に掲載された作品で、『完全版 妖女伝説』に収録されています。
1977年に掲載された作品で、『完全版 妖女伝説』に収録されています。
『妖女伝説』は、歴史や伝説を題材にしながらも、SF的な要素やミステリー要素を盛り込んだ独特の世界観が魅力です。星野之宣の緻密な画力と、重厚なストーリー展開は、多くの読者を魅了し続けています。
初期の作品群は、1981年にヤングジャンプコミックスとして2巻が発売されました。その後、2003年に嶋中書店から『完全版 妖女伝説』が全2巻で刊行され、2006年にはチクマ秀版社から『妖女伝説-初期型-』が発売されています。また、2015年には小学館から『妖女伝説 SIRENS CALL OF THE LORELEI』と『妖女伝説2 QUEEN OF THE DESERT SANDS』が刊行され、初期作品の一部が再収録されています。
星野之宣は、本作の執筆中に古代史に興味を持ち始めたと語っており、それが後に『ヤマトの火』や『ヤマタイカ』などの伝奇漫画を執筆するきっかけになったとされています。特に、卑弥呼を題材にしようと軽い気持ちで古代史を調べ始めたことが、その後の作品に大きな影響を与えたと、手塚治虫、諸星大二郎との鼎談で明かしています。
以下に、収録されている主なエピソードを紹介します。
ローレライの歌
1979年の『ヤングジャンプ』1号に掲載された作品です。1902年、川辺で歌う美しい女性を目撃した少年は、彼女がローレライの伝説に登場する魔女だと信じます。酔っ払いで暴力を振るう父の死を魔女に願った少年は、その願いが叶う一方で、魔女の正体が単なる画家のモデルであることを知ります。しかし、村人たちが画家を殺し、女性を火あぶりにしたことで、少年は更なる悲劇へと進むことになります。物語のラストでは、少年がナチス党の総統アドルフ・ヒトラーとして描かれる衝撃的な展開が特徴です。
カーミラの長い眠り
1979年3号に掲載された作品です。嵐の夜に投身自殺した娘カーミラ。半年後、看護師ジョルジアはカーミラの母親から招待を受け、城を訪問します。そこで、カーミラが吸血鬼として蘇ったという噂が立ち、村人たちが墓を掘り返します。カーミラは仮死状態だったことが判明しますが、若い牧師はカーミラを吸血鬼と断定し、滅ぼそうとします。ジョルジアは、カーミラを蘇生させようと試みますが、最終的にはカーミラは殺されてしまいます。ラストでは、ジョルジアが新たな吸血鬼になることを暗示するような展開が描かれています。
月夢（げつむ）
1979年5号に掲載された作品です。800年を生きてきたと語る老女・八百比丘尼を取材に来た記者とカメラマンは、彼女の不死の理由を聞きます。同じ頃、アポロ20号で月面に降り立った日系移民の榊は、何かに導かれるように行動を始めます。過去と現在が交錯する中で、比丘尼と榊の運命が交差します。
メドゥサの首
1979年7号に掲載された作品です。ギリシア貴族の末裔である女性アスパシアにエーゲ海の小島に招待された時子は、そこで古代の美術品に触れます。メドゥーサの首がはめ込まれていたとされる楯アイギスが発見され、アスパシアは嫉妬から時子をメドゥーサと見なし襲いかかります。アスパシアは海に落ち、無数のメクラウナギに襲われ、怪物の姿に変わり果ててしまいます。
女たちの挽歌
1979年9号に掲載された作品です。雪女伝説をモチーフにした物語で、ヤングジャンプコミックス版には未収録でしたが、後に他の版に収録された際に「挽歌」と改題されています。
砂漠の女王
1979年12号から1980年5号まで連載された作品で、クレオパトラ、サロメ、ゼノビアという3人の女性が転生を繰り返す壮大な物語です。クレオパトラは転生するために自死し、サロメとして生まれ変わりますが、イエスとの出会いを経て悲劇的な最期を迎えます。そして、ゼノビアとして再び転生しますが、永遠に死ぬことのできない呪いに縛られていることが判明します。
蜃気楼-ファタ・モルガーナ-
1980年9号と11号に掲載された作品です。北極点上空での飛行に成功したフィンは、蜃気楼によって起こった出来事と考えます。その後の探索で、遭難した飛行船が蜃気楼だと断じて進んだ山影は、実は浮遊する飛行船の船殻であり、アムンセンも行方不明になってしまいます。
日高川
1980年13号に掲載された作品です。人形浄瑠璃の人形遣いである安彦は、「日高川入相花王」の公演で清姫の主遣いに抜擢されます。稽古に励む安彦ですが、師匠の娘である清子との縁談が破談になりかけます。最終的に安彦は清姫の情念を宿すことに成功し、公演は大成功を収めますが、その夜、劇場は火災に見舞われ、安彦は人形と共に焼死してしまいます。
歴史は夜つくられる
1988年に発表された作品で、タイタニック号を舞台に、マタ・ハリ、トーマス・エドワード・ロレンス、グリゴリー・ラスプーチンらが登場する歴史改変SFです。タイタニック号の沈没は、Uボートによって崩された氷山が原因であったという設定になっています。
ボルジア家の毒薬
1988年から1989年にかけて発表された作品で、レオナルド・ダ・ヴィンチを主人公として、チェーザレ・ボルジアの隆盛と没落、ルクレツィア・ボルジアを描いています。
アリス
1985年に掲載された作品で、『完全版 妖女伝説』に収録されています。
水のアマゾネス
1977年に掲載された作品で、『完全版 妖女伝説』に収録されています。
『妖女伝説』は、歴史や伝説を題材にしながらも、SF的な要素やミステリー要素を盛り込んだ独特の世界観が魅力です。星野之宣の緻密な画力と、重厚なストーリー展開は、多くの読者を魅了し続けています。
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