宇品橋

宇品橋：広島のランドマーク、京橋川に架かる大動脈

宇品橋は、広島県広島市を流れる京橋川に架かる道路橋です。1999年には全日本建築士会連合会から全建賞都市部門賞を、翌2000年には土木学会から田中賞作品部門賞を受賞するなど、その設計と施工技術の高さが高く評価されています。

市街地と港を繋ぐ重要な交通路

宇品橋は、広島市道鷹野橋宇品線の一部として建設され、広島南道路に接続しています。広島港宇品地区と市内中心部を結ぶ幹線道路として、鷹野橋宇品線の整備計画の中で架橋されました。2000年3月19日、宇品大橋と同じ日に開通しました。京橋川に架かる橋としては最下流に位置し、元安川との合流地点から下流は広島港の区域に指定されています。

橋の周辺には、重要な交通インフラが集中しています。下流側には広島高速3号線元安川大橋、上流側には広島県道243号広島港線と広島電鉄宇品線が併用する御幸橋がそれぞれ架かっています。宇品橋の右岸側道路を進めば南千田橋東詰交差点へ、左岸側からは広島高速3号線出島出入口へとアクセスできます。右岸側は陸橋構造となっており、橋の下には千田下水処理場が位置しています。

複雑で美しい構造

宇品橋の全長は639.5mに及び、その構造は多様な要素から構成されています。主径間は4径間連続パイプアーチ橋と単弦ローゼ橋、側径間は鋼鈑桁橋で構成されており、それぞれが異なる役割を果たしています。詳細な橋長は、198m（6径間連続鈑桁）+ 103m（支間長、ローゼ）+ 208m（パイプアーチ）+ 40m（支間長、単純鋼床版鈑桁）となっています。橋の幅員は車道13m、歩道7m、桁下航路限界は6.5mです。

海と街を繋ぐランドマーク

宇品橋の設計にあたっては、京橋川最下流に位置する立地条件、そして広島港から市内中心部への玄関口という役割を最大限に活かすデザインが追求されました。川から海、そして港から街へと続く重要な動線を象徴するランドマークとなるよう、周辺環境との調和にも配慮した計画が実施されました。

特に特徴的なのは、主径間を構成する2つのアーチ橋です。宇品側の河川橋には上路式パイプアーチ橋、千田側の陸橋には単弦下路式ローゼ橋が採用されています。単弦ローゼ橋のアーチリブは六角形で、支間中央に向かって細くなる変断面構造が用いられています。一方、パイプアーチ橋は下弦材に4本のパイプ材を使用しています。多径間多主構鋼パイプアーチとしては国内初の施工例であり、上路式アーチ架設には大型ブロック化による台船工法が用いられました。

結び

宇品橋は、単なる道路橋を超えた存在です。その壮大なスケール、洗練されたデザイン、そして先進的な技術の結晶は、広島の街のシンボルとして、人々の生活を支え、未来へと繋がる重要な役割を果たしています。

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