安井金比羅宮

安井金比羅宮：縁切りで知られる歴史深い神社

京都市東山区に位置する安井金比羅宮は、古くから人々の信仰を集める神社です。通称「縁切り神社」として知られており、悪縁を断ち切り、良縁を結ぶことを願う参拝客が多く訪れます。その歴史は深く、平安時代まで遡る由緒ある社です。

歴史：崇徳上皇と深く関わる由緒

創建は天智天皇の時代まで遡り、藤原鎌足が藤原氏繁栄を祈願して仏堂を建立したのが始まりとされます。その後、平安時代には崇徳上皇が深く関わるようになり、愛妾であった阿波内侍が住まい、度々参拝したと伝えられています。保元の乱後、讃岐国に流された崇徳上皇は、阿波内侍に自筆の尊影を授けました。上皇の崩御後、悲嘆に暮れた阿波内侍は出家し、尊影を藤寺観音堂に奉納、遺髪を埋葬して祈りを捧げました。

治承元年に大円法師が参拝した際、崇徳上皇の霊が現れたことから、後白河法皇の命により光明院観勝寺が建立されました。これが安井金比羅宮の起源とされています。阿波内侍の塚は整備され、御影堂（現・崇徳天皇御廟）が建てられました。応仁の乱で荒廃した後も、明応6年に再興され、崇徳上皇の霊を慰めました。元禄8年には蓮華光院（安井門跡）の管轄となり、その後、光明院観勝寺は廃絶しました。近年では、光明院・観勝寺、東岩蔵寺の寺伝が混同された経緯が指摘されています。

『都名所図会』には、大円法師の参籠時に崇徳上皇の霊が現れ、後白河法皇の詔により崇徳上皇の鎮魂のため堂塔が建立されたと記されています。崇徳天皇を祀り、金毘羅権現、源三位頼政を合祀し、「安井の金毘羅」と呼ばれました。源頼政の合祀は、蓮華光院初代が平氏打倒のため頼政に協力した高倉宮以仁王の遺児であったことと関係があるとされています。

明治維新の神仏分離により、安井神社に改組され、金毘羅権現は大物主神に改められました。明治6年には村社、明治15年には郷社に昇格し、戦後「安井金比羅宮」となりました。

祭神と境内：多くの神々を祀る広大な境内

主祭神は崇徳天皇、大物主神、源頼政です。境内には本殿、拝殿をはじめ、厳嶋社、三玉稲荷社、三社、安井天満宮、久志塚（櫛塚）、吉川観方の像、桜之宮、八大力尊社、金比羅絵馬館など、多くの社殿や史跡があります。特に有名で多くの参拝者を集めるのが、悪縁を断ち切り良縁を結ぶことを願う縁切り縁結び碑です。石の表面には無数のお札が貼られています。

祭事：年間を通して行われる様々な祭事

安井金比羅宮では、歳旦祭、初金比羅祭、節分祭、春季金比羅大祭、夏越大祓、櫛まつり、秋季金比羅大祭、秋季火焚祭、終い金比羅祭、年越大祓など、年間を通して様々な祭事が行われます。特に櫛まつりでは、古くなった櫛や簪を供養する儀式や、時代風俗行列が催され、多くの見物客を集めます。

その他：落語研究会や小説の舞台にも

桂米朝上方落語研究会が開催されることでも知られています。また、人間関係やギャンブル、病気など、様々な悪縁を断ち切りたいと願う人々から、お札や絵馬が多数奉納されています。田口ランディ氏の小説『縁切り神社』の舞台にもなったことで有名です。

アクセスと周辺環境

京都市営バス・京阪バス「東山安井」下車徒歩1分、「清水道」下車徒歩2分、京阪本線祇園四条駅・阪急京都線河原町駅から徒歩15分とアクセスも良好です。周辺には高台寺、ねねの道、清水寺など、多くの観光スポットがあります。

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