金毘羅権現

金毘羅権現について

金毘羅権現（こんぴらごんげん）は、香川県琴平町の象頭山に位置し、山岳信仰と修験道が融合した神であり、神仏習合の象徴として広く知られています。彼の本地仏には不動[[明王]]や千手観音、十一面観音などがあるとされ、特に明治時代初期の神仏分離政策以降は大物主と称されるようになりました。この金毘羅権現は、讃岐国の象頭山にある松尾寺の別当として古くから奉斎され、讃岐の金毘羅大権現を総本宮として、全国の金毘羅宮で信仰されてきました。

由来と信仰

金毘羅権現の起源は、古代の修験道の修行者、役小角が象頭山に登った際に遭遇したとされる護法善神、金毘羅の神験に由来します。金毘羅は元々、インドの神々に伝わる水の神であり、数多くの海上交通の守護神としての役割も担っています。このため、彼は特に船乗りたちから厚く信仰されています。海を見下ろす山々には、金毘羅宮や金毘羅権現社が各地に建立され、海上の安全を祈願する場となりました。

崇徳天皇の合祀

長寛元年、崇徳上皇が象頭山松尾寺に参籠したことから、彼もまた信仰の対象とされ、崇徳上皇は崩御の翌年に松尾寺本殿に合祀されました。現在も金刀比羅宮の本殿の相殿に祀られており、その存在は金毘羅信仰の深さを示しています。

天狗信仰と金毘羅

江戸時代になり、金毘羅権現を補佐する存在として天狗が登場し、天狗信仰も広まりました。戦国時代末に修験者である金剛坊宥盛が金毘羅信仰を再興し、自身の像を金毘羅宮に祀ったという伝説も残っています。宥盛像は秘仏とされていましたが、激しい廃仏毀釈を逃れきれず、明治時代に消失したと言われています。このように、金毘羅権現はその象徴としての力を失うことはありませんでした。

金毘羅参りの盛況

江戸時代後期には、金毘羅参りが庶民の間で盛況となり、讃岐から各地への交通路が整備されました。香川県琴平町にある金刀比羅宮は全国的に約600社の金刀比羅神社の総本宮として、その地位を確立し、毎月10日が縁日として特別な日となっています。

金毘羅講と代参

金毘羅信仰を支持するために、経済的な負担を軽減するために結成された金毘羅講という宗教的互助組織が出来ました。講員たちは積立金を利用し、代表者が象頭山金毘羅大権現に参詣し、交通安全を祈願しました。さらには、「こんぴら狗」や「流し樽」といった代参の習俗も広まりました。

神仏分離と廃仏毀釈の影響

1868年に神仏分離政策によって金毘羅権現は琴平神社と改称され、主祭神は大物主と定められました。その結果、金光院などの寺院は消滅し、松尾寺は僧侶の手により存続しましたが、金毘羅権現そのものの存続は厳しい状態でした。しかし、少数ではあったものの、廃仏毀釈を免れた寺院で金毘羅権現が祀られ続けています。

現在の金毘羅権現

今もなお、金毘羅権現は日本各地に息づき、香川県だけでなく全国に多くの神社として存在します。それぞれの神社には独自の伝承や祭りがありますが、すべての信者たちが彼のご利益を求めています。金毘羅権現を題材にした民謡「金毘羅船々」も地域の文化の一部として古くから伝わっており、信仰の証として今もなお愛され続けています。

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