安田不動産

安田不動産株式会社（やすだふどうさん）は、日本を拠点とする不動産会社で、本社を東京都千代田区に構えています。

設立と沿革

設立は1950年。旧安田財閥の中核であった安田保善社の残余不動産を現物出資する形で、当初は永楽不動産株式会社として事業を開始しました。創立20周年を迎えた1970年に、現在の安田不動産株式会社へと商号を変更しています。

同じく旧安田財閥を源流とする不動産会社に東京建物がありますが、両社には設立経緯に大きな違いがあります。東京建物は、安田財閥の創始者である安田善次郎自身が設立した会社であるのに対し、安田不動産は安田保善社の清算に伴う残余資産を基にスタートしたという点で、異なる歴史を持っています。

会社設立以降、事業領域を徐々に拡大してきました。1951年には不動産の売買仲介業務を開始し、翌1952年には宅地建物取引業者としての登録を完了。さらに1965年には不動産鑑定業者としての登録も行い、不動産に関する専門性を高めていきました。

2001年には、東京リアルティ・インベストメント・マネジメントへの出資を通じて、J-REIT（日本プライムリアルティ投資法人）への関与を開始し、不動産証券化の分野にも取り組みを進めています。2002年にはマンション管理業の登録も行い、事業の多角化を図っています。

特徴的な取り組みと受賞歴

同社が提唱するユニークなコンセプトとして、「ROOP」が挙げられます。これは、2003年に築30年のオフィスビルを改修した「ループ虎ノ門」から始まった取り組みです。入居者が自由に内装を変更できるだけでなく、退去時の原状回復義務をなくし、さらに敷金や礼金、管理費、更新料も不要とするものです。次の入居者へスムーズに引き継がれる循環型の利用を促すこの試みは高く評価され、2003年にはグッドデザイン賞と日本不動産学会業績賞を受賞しています。

また、この他にも手掛けた建築物がデザイン面で高く評価されています。2008年には「キャピタルマークタワー」が、2009年には「ビューライド綾瀬」がそれぞれグッドデザイン賞を受賞するなど、都市開発や住宅開発においても質の高いデザインを追求する姿勢が見られます。

関連会社と事業領域

安田不動産グループは、複数の関連会社を通じて多様な事業を展開しています。主な関連会社には、安田開発株式会社、安田不動産パーキング株式会社、安田ファシリティワークス株式会社などがあります。特に、安田不動産投資顧問株式会社は、私募リートである「安田不動産プライベートリート投資法人」の運用を手掛けるなど、資産運用分野でも存在感を示しています。

これらのグループ会社との連携により、オフィスビルや商業施設、住宅の開発・賃貸・管理、駐車場事業、不動産コンサルティング、不動産投資顧問業など、不動産に関わる幅広いサービスを提供しています。

その他

2003年5月20日にテレビ東京で放送されたドキュメンタリー番組「日経スペシャル ガイアの夜明け」の「空室あり TOKYO」という回で、同社の取り組みが紹介されたことがあります。

関連する事項として、創業者である安田善次郎や、源流である安田財閥、安田保善社の名が挙げられます。

（最終更新日：[情報に基づく任意の日付を想定]）

関連項目

安田善次郎
安田財閥
* 安田保善社

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