宗教

宗教とは、人間や自然の力を超えた存在への信仰を中心に据えた思想体系および社会的集団を指します。この概念は、教義や儀礼、組織といった要素を含み、人々が共有する信念や実践の形を成しています。広辞苑では宗教を「神または何らかの超越的絶対者の信仰及び行事」と定義しています。世界の宗教は多様であり、信者数はキリスト教が約20億人、イスラム教が約11.9億人、ヒンドゥー教が約8.1億人など、実に様々な宗教が存在します。

宗教の分類

19世紀から20世紀にかけて、比較宗教学が発展し、宗教は大きく三つに分類されています。世界宗教は文化を越えて広がるもの、民族宗教は特定の文化や国に根付くもの、新宗教は比較的新しく形成された宗教です。特に、キリスト教、イスラム教、仏教は多様な民族や文化圏に広がる世界宗教とされ、ユダヤ教や神道、ヒンドゥー教は特定の民族の信仰に属する民族宗教とされています。また、宗教は一神教と多神教に分けられ、一神教にはキリスト教やイスラム教、ユダヤ教が含まれ、多神教にはヒンドゥー教や神道があります。無神的宗教としては仏教があります。

宗教の語源

日本における「宗教」という用語は、仏教に由来し、もともと仏教の深入った教えを指していました。幕末に英語の「Religion」を訳す際に「宗教」という語が採用され、明治に入ると広まったとされています。「宗教」の語は、ドイツの宗教用語「Religionsübung」に基づいて定着しました。元来、宗教は教義と実践が強く結びついていました。

定義とその多様性

「宗教とは何か」という問いには、多くの定義が試みられています。心理学者のジェームズ・リューバは、宗教を主知的、主情的、主意的な観点から分類し、様々な定義を挙げました。宗教を成立させる要素として、超越的な存在を認める観念があげられ、信者や社会集団が何を信じ、どのように実践するのかを示す重要な概念となっています。

宗教と社会

宗教は歴史的には政治や経済、科学などと密接に関連していましたが、近代化とともにその影響力は減少しました。だが、個々の内面における宗教心は依然として強まり、特に共産主義国や宗教国家ではその影響力が再び顕著になっています。福祉や慈善活動を通じて社会貢献を果たす宗教団体も存在し、教育的機能も持っています。

現代における宗教問題

信教の自由が保障されている国でも、不適切に宗教が弾圧される場合があります。宗教間の紛争や戦争も多く、その背景には文化や社会集団間の対立が影響しています。また、過激派の台頭やカルトの問題も深刻で、オウム真理教事件がその一例です。

宗教の研究

宗教研究は主に神学と宗教学に分かれ、神学は内部の立場から、宗教学は外部の立場からアプローチします。19世紀にはフリードリヒ・マックス・ミュラーなどにより比較宗教学が発展し、宗教心理学や宗教社会学との関係が深まりました。

表現形式

宗教は様々な形で表現され、神話や教典、儀礼、芸術を通じて伝えられます。これらの要素は信仰の深さを反映し、文化的活動と深く結びついています。宗教的な美術や音楽は、その文化圏において重要な役割を果たしてきました。特に宗教儀礼や祭りは、信者にとっての重要な経験となっています。社会の中で宗教は寛容や倫理観を育む要素でもあり、各国で見られる多様な文化と共生する中で進化を続けています。

もう一度検索