富田暁

富田暁：努力と挫折、そして栄光を掴んだ若き騎手

富田暁は、1996年12月11日生まれのJRA栗東トレーニングセンター所属の騎手です。茨城県出身で、幼少期から高校時代までサッカーに打ち込んでいましたが、競馬好きの父親の影響もあり、漠然と騎手を志すようになりました。高校1年生の進路選択を機に競馬学校騎手課程受験に挑戦するも、結果は不合格。しかし、諦めずに翌年の再挑戦で合格を掴み取りました。第33期生として入学した彼は、同期生の中では2歳年上という異色の経歴を持っています。

競馬学校時代は、同期の中で唯一の乗馬未経験者というハンデを背負い、技術習得には並々ならぬ努力を強いられました。しかし、持ち前の努力で難関を突破し、晴れて卒業。出身は茨城県ですが、同期に美浦所属の騎手が多くいたことから、栗東所属を選択。栗東で新たなキャリアを築くことを決意したのです。

2017年3月、栗東・木原一良厩舎から騎手としてデビュー。デビューから43戦目となる4月22日、京都4Rの3歳未勝利戦でユキノタイガに騎乗し、念願の初勝利を挙げました。それから2か月後には、同じユキノタイガで重賞初騎乗となる京都新聞杯に挑みました。

その後も着実にキャリアを重ね、2018年6月にはフランスのシャンティイ競馬場で行われた「ロンジン・フューチャー・レーシング・スター賞」にJRA代表として出場。国際舞台での経験を積みました。さらに、2019年8月からはオーストラリアへ研修に渡航。同地で初騎乗初勝利を達成するなど、積極的に海外での研鑽を積みました。コロナ禍の影響で予定よりも短縮された9か月間のオーストラリア滞在を終え、2020年4月に帰国。帰国後、2020年の菊花賞でGI初騎乗を果たしました。

2022年1月8日にはJRA通算100勝を達成。そして、2023年9月10日、念願の重賞初制覇を飾りました。阪神競馬場で行われたセントウルステークス（GII）でテイエムスパーダに騎乗し、見事勝利を掴み取りました。この勝利は、長年の努力と経験の結晶と言えるでしょう。

しかし、2024年6月には、酒席でのトラブルがきっかけで、池添謙一騎手と調整ルームで揉み合いになるという事件を起こし、騎乗停止処分を受けました。この事件は、彼のキャリアに暗い影を落とすこととなりましたが、同時に、プロとして責任を負うことの重大さを改めて認識する機会ともなったはずです。

富田暁は、サッカーから競馬へと転身し、数々の困難を乗り越えてきました。目標とする騎乗フォームは、名手フランキー・デットーリ騎手。彼のひたむきな努力と情熱は、多くの競馬ファンを魅了し続けています。兄は茨城県土浦市でラーメン店を経営しているというエピソードも、彼の飾らない人柄を表しています。今後も、彼の活躍から目が離せません。

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