寺田

寺田について

寺田（じでん、てらだ）は、日本における仏教寺院の運営に使われる土地を指します。これは、仏教が日本に伝来した6世紀中期からの歴史に密接に関連しており、寺院の経済的基盤を支える重要な要素となっています。ここでは、寺田の成り立ちやその後の発展について詳述します。

沿革

日本の仏教が本格的に根付いたのは、推古天皇の頃（6世紀末 - 7世紀前期）であり、以降寺院の数が増え、その運営には経済的な支援が求められました。寺田はそうした運営のための収入源として設置された土地です。7世紀後半には律令制度が整備され、田地は班田収授制度に組み込まれましたが、特に寺田や神社のために設けられた神田はこの範疇から外されました。これは、これらの土地が神仏に帰属するものであるとの認識からきています。そのため、宗教的土地の売買は禁止されていました。

8世紀には、大宝律令や養老律令により寺田に関する法律が整備され、特に寺田は6年ごとの班田収授の対象から外されることが定められました。この結果、寺田は不輸租田と認識され、租税免除の特権を与えられましたが、それと引き換えに土地の寄付が禁止されました。

しかし、8世紀中期から施行された墾田永年私財法によって、有力な大寺院は積極的に墾田を行い、荘園を形成していきました。これは政府が仏教の興隆を支援する形で実施されたもので、記録には地方国司が東大寺の荘園開発を行った事例が数多く見られます。この開発により、寺院は自身の土地が寺田であることを主張し、さらには租税免除の権利を獲得していきました。

9世紀から10世紀にかけて律令制度が崩壊した後でも、寺田には不輸の権が認められていました。これにより、田堵と呼ばれる有力農民たちは自身が経営する田地を有力寺院や神社に寄進することが、不輸の権を得るための手段となりました。そのため、多くの荘園が有力寺社に寄進されることとなりました。

11世紀から13世紀ごろになると、荘園公領制が成立し、寺田は荘園や国衙領の中の免税田として位置づけられました。寺田にかかる年貢や公事は領主の収入にはならず、寺院の運営に使用されることが定められました。

地名と名字

現在、日本各地には「寺田」という地名が多く存在しており、これは先述の寺田に由来しています。また、「寺田」という名字も同様に、この運営に必要な土地の名称から派生したものであり、日本の文化と歴史に根ざしています。これに関連して、寺田という名前を持つ地域や人々は、仏教的な伝承の一部を担っているとも言えるでしょう。

関連項目

• - 神田
• - 佃
• - 班田収授法
• - 荘園

寺田の背景には、日本の歴史における仏教の重要性や、土地制度の変遷が深く関わっているのです。

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