寺田陽次郎

寺田陽次郎

寺田陽次郎（てらだ ようじろう）は、1947年3月26日生まれの日本のレーシングドライバーで、兵庫県神戸市垂水区出身です。彼は特にル・マン24時間レースでの活動が評価されており、日本では「ミスター ル・マン」と親しまれています。現在は、自身が代表取締役として経営する株式会社オートエクゼを通じて、マツダ車のチューニングパーツを手掛けています。家族には声優の娘と元タレントの元妻がいます。

幼少期とレーシングドライバーへの道

寺田は、神戸市で靴製造業を営む家族の元に生まれ育ちました。彼の家庭では、住み込みの靴職人が30から40人もいる環境で、彼自身もその影響を受けて育ちました。幼少の頃から自動車に興味を持ち、小学3年生の際に家の庭で初めて運転を体験すると、次第にレーサーになりたいという夢を抱くようになります。特に、中学・高校時代にホンダのF1参戦記事を見て、自分もドライバーになりたいという強い思いを持つようになりました。

しかし、家族は彼の進路に対して期待を寄せており、特に母親は大学進学を望んでいました。中学3年生で父親を亡くし、母親が家業を継ぐことを希望する中、寺田はレーサーになる決意を固めました。上京した彼は、知人の紹介により著名なレーサーである古我信生に弟子入りすることになります。一方で、実家は廃業へと追い込まれてしまい、母親との関係は一時険悪なものとなりましたが、母親は最終的に寺田の夢を応援することを決意します。

レース界でのキャリア

レース活動を始めるには資金が必要でした。寺田は母に4年間の大学費用をゼロにして自分に賭けてほしいと懇願し、母もこれに応じたことから、彼は18歳から数年間、ホンダ関連のクラブでレーシング活動を始めました。その後、22歳の時にマツダがドライバーを募集していることを知り、マツダオート東京に就職。新設されたモータースポーツ相談室に配属されます。

1974年、寺田はマツダ製のプロトタイプカーシグマ・MC74でル・マンに初参戦。その後、1981年から2008年まで、合計29回にわたってル・マン24時間レースに挑戦し、1983年、1988年、1990年、1996年の各年にはクラス優勝を果たすなど、多くの成果を上げてきました。彼は日本人として初めて耐久レースの世界3大イベントを完走したレーサーでもあります。

国際的な活動と受賞

2003年、寺田のル・マンにおける功績が認められ、フランス西部自動車クラブの理事に選ばれました。さらに、2006年には「The spirit of le mans award」を日本人として初めて受賞します。2007年には、ACOの日本法人「ACO JAPAN株式会社」の初代社長に就任し、国際的なレース活動への貢献を続けました。

2010年には観光庁から初代スポーツ観光マイスターに任命され、スポーツと観光の連携に貢献しました。また、東北の子供たちを支援するプログラムや、毎年ル・マンに子供たちを派遣する活動も行っています。

2023年には、長年にわたるル・マンへの参戦と日仏友好に尽力したことが評価され、フランス政府から国家功労勲章シュヴァリエを授与されました。彼の偉業は、レース界のみならずスポーツの発展にも寄与していると言えるでしょう。

もう一度検索