対策

対策（たいさく）について

対策とは、平安時代初期から室町時代にかけて実施されていた日本の官吏登用に関連する試験のことを指します。この試験は、献策・方略試・秀才試・文章得業生試などの名称でも知られています。対策のルーツは古代中国にさかのぼり、特に唐の時代にみられた「策問」という制度に由来します。ここでは、天子が時事問題や経義に基づいて出題し、士たちがその課題に対し文章を作成して応じる形式がとられていました。こうした習慣が日本に伝わり、結果として日本でも秀才を選ぶための仕組みとして発展していったのです。

平安時代に入ると、特に紀伝道という文科が栄えました。これは、文章院で漢詩や文書、歴史を学ぶ学科であり、通称「文章道」とも呼ばれました。この学問の場では、文章博士が養成した文章得業生たちに対して「策文」を出し、彼らがその解答を行うことで試験を行うようになりました。この流れの中で、対策という名称が用いられるようになりました。この試験に合格することができれば、官吏への昇進が約束されていたため、極めて重要な国家試験と位置付けられていました。

また、儒家に属さないために文章得業生になることが出来ない者たちに対しては、特に方略宣旨を申請することによって対策を受験する権利が与えられました。ここでの対策文は、古今の故事を引用した内容が多く、次第に内容が空疎なものに堕してしまったという観察もあります。試験制度としての対策は、室町時代まで存続し、その後も日本の教育や官吏制度に影響を与える要素となりました。

対策の試験内容自体は、時代とともに進化し、形式化していったものの、その意義や重要性は変わることはありませんでした。この試験によって選抜された官吏たちは、国家の重要な役割を果たし、平安から室町にかけての日本の国家運営に寄与しました。文章や漢詩文、歴史を学び、その技能を試される場であったことは、学問の重要性を示しています。

このように、対策という試験は、単なる官吏登用の手段にとどまらず、当時の文人たちにとって名誉や地位を得るための重要な試験であり、また、国家の将来を支える人材を見出すための重要な仕組みでした。その結果、対策は日本の官吏制度において欠かせない要素となり、今日までの教育制度や試験システムにも影響を及ぼしています。

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