小松一彦

小松一彦（こまつ かずひこ）

プロフィール

小松一彦は、1947年4月29日に生まれ、2013年3月30日に生涯を閉じた日本の指揮者です。桐朋学園大学で指揮を学んだ後、ライン・ドイツ・オペラで研鑽を積みました。そのキャリアを通じて、国内外の数多くのオーケストラで指揮を執り、幅広い音楽活動を展開しました。

指揮者としてのキャリア

小松一彦は、関西フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者（1982年～1988年）、札幌交響楽団の専属指揮者（1988年～1992年）を歴任しました。さらに、サンクトペテルブルク交響楽団、プラハ交響楽団、スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団などの常任客演指揮者を務めるなど、国際的にも活躍しました。また、中央大学管弦楽団の音楽監督兼名誉指揮者としてもタクトを振るい、後進の指導にも尽力しました。52歳の頃には、年間のおよそ3分の1を海外での活動に費やしていました。

レパートリーと業績

小松一彦のレパートリーは非常に幅広く、古典から現代音楽まで、ジャンルを問わず多くの作品を指揮しました。特に、日本人作曲家の作品、中には戦前の作曲家である貴志康一の作品の発掘と紹介に力を注ぎました。その功績が認められ、2000年には中島健蔵音楽賞を受賞しました。また、クラシック音楽の分野にとどまらず、交響詩『ウルトラマン』『ウルトラセブン』、テレビアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』のサウンドトラック、すぎやまこういち作曲の交響曲『イデオン』、『ドラゴンクエストシリーズ』の楽曲など、様々なジャンルの録音にも携わりました。

貴志康一の伝道師として

小松一彦は、1983年以来、作曲家・貴志康一の作品の普及に尽力し、「貴志康一の伝道師」と自認していました。貴志の作品の録音や公演を積極的に行い、貴志の生誕100周年にあたる2009年には、新交響楽団や中央大学管弦楽部との公演を通じて、その音楽を広く紹介しました。

福山夢オーケストラの立ち上げ

小松一彦は、広島県福山市のアマチュアオーケストラ「福山夢オーケストラ」の立ち上げにも協力しました。月に一度、横浜から福山を訪れて指揮者・音楽監督として指導にあたりました。このオーケストラは後にNPO法人化し「福山シンフォニーオーケストラ」となりましたが、小松は名誉指揮者としてその発展を見守りました。

音楽に対する思想

小松一彦は、スラブ系民族の音楽性や民族性による音楽の違いを深く理解し、その経験を日本の音楽界にフィードバックすることに注力していました。海外での公演では聴衆の層の厚さを評価する一方で、「日本では、初心者と専門家に分かれていて、中間の聴衆が少ない」と嘆き、クラシック音楽の大衆化をライフワークとしていました。聴衆、大衆を音楽化することを目標としていました。

メディア出演と著書

小松一彦は、テレビ番組『名曲アルバム』や『題名のない音楽会』にも出演しました。また、著書に『改訂新版 実践的指揮法 管弦楽・吹奏楽の指揮を目指す人に』（音楽之友社、2008年）があります。

死去

2013年3月30日、肺炎のため65歳で逝去しました。

小松一彦は、その卓越した指揮技術と幅広い音楽への情熱を通じて、日本の音楽文化に大きく貢献しました。

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