小笠原弘幸

小笠原 弘幸: オスマン帝国史の専門家

小笠原 弘幸（おがさわら ひろゆき、生年: 1974年）は、日本における著名な歴史学者であり、特にオスマン帝国やトルコ共和国に関する研究を行っています。彼は九州大学大学院人文科学研究院の准教授として、歴史教育や研究に尽力しています。2023年には、第14回樫山純三賞を受賞するなど、その業績は高く評価されています。

人物・来歴

小笠原氏は、北海道北見市で生まれました。青山学院大学文学部史学科を卒業後、2005年には東京大学大学院人文社会系研究科の博士課程を修了しましたが、同年に単位取得退学しています。彼は2006年に日本学術振興会の特別研究員として東洋文庫で研鑽を積み、2008年に「古典期オスマン朝歴史叙述における起源論と系譜意識」をテーマに東京大学から博士（文学）の学位を取得しました。

その後、彼は政治経済研究所での研究員や青山学院大学の非常勤講師などを経て、2013年に九州大学大学院人文科学研究院の准教授に就任します。また、2018年には日本イスラム協会の理事にも選出されています。また、2019年には『オスマン帝国』という著書が、第14回樫山純三賞の一般書部門を受賞しました。

研究の業績

小笠原氏は、オスマン帝国の歴史を深く掘り下げた研究を行っており、特に系譜に関する考察が際立っています。その研究は、オスマン朝における歴史叙述や王家の起源論にも及び、多数の論文や著書としてまとめられています。代表的な論文には、2009年に発表した「オスマン王家の始祖としてのヤペテとエサウ」があり、これにより第31回日本オリエント学会奨励賞を受賞しました。

主な著書

小笠原氏は、単著や編著として多くの書籍を執筆しています。実績としては以下のような著作があります:

• - 『イスラーム世界における王朝起源論の生成と変容』（刀水書房、2014年）
• - 『オスマン帝国：繁栄と衰亡の600年史』（中公新書、2018年）
• - 『オスマン帝国英傑列伝：600年の歴史を支えたスルタン、芸術家、そして女性たち』（幻冬舎新書、2020年）
• - 『ハレム：女官と宦官たちの世界』（新潮社〈新潮選書〉、2022年）
• - 『ケマル・アタテュルク：オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父』（中公新書、2023年）
• - 『オスマン帝国の肖像：絵画で読む六〇〇年史』（角川新書、2025年予定）

編著としては、

• - 『トルコ共和国国民の創成とその変容：アタテュルクとエルドアンのはざまで』（九州大学出版会、2019年）
• - 『論点・東洋史学：アジア・アフリカへの問い158』（吉澤誠一郎監修、石川博樹ほか共編、ミネルヴァ書房、2022年）

小笠原弘幸氏は歴史学の分野でその専門知識を生かし、学術界での重要な役割を果たし続けています。彼の研究は、オスマン帝国の理解を深める上で貴重なものであり、今後のさらなる業績にも期待が高まります。

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