尾山篤二郎

尾山 篤二郎の生涯と業績

尾山篤二郎（おやま とくじろう、1889年12月15日 - 1963年6月23日）は、日本の国文学者であり、歌人としても名を馳せた人物です。彼は大正から昭和にかけて活躍し、その作品や活動は後の歌壇に大きな影響を与えました。東京大学から文学博士の学位を取得し、多くの業績を残しました。

幼少期と学びの道のり

金沢市で生まれ育った尾山は、金沢市立商業学校に通っていたものの、1903年に結核に罹患し、右足を切断するという困難な経験をしました。この出来事により彼は学校を中退しますが、彼の文学への情熱は変わることなく続きました。窪田空穂に敬意を抱き、後に空穂が主宰する文芸誌『國民文學』の同人となり、文学の道を歩み始めます。

上京と詩歌の活動

1909年に上京した尾山は、前田夕暮や若山牧水らと親交を結び、1911年には夕暮が創刊した雑誌『詩歌』に参加しました。翌年、彼は金沢で自らの詩誌『樹蔭』を創刊し、1917年には牧水の復刊した『創作』にも参加します。この時期、尾山は歌集『さすらひ』を出版し、新たな表現スタイルを模索します。

鋭い舌鋒と歌のスタイル

尾山の歌は日常語を多く用いたもので、彼自身は「ざっくばらん調」と称する明快で自由な歌風を持っていました。そのスタイルは大正・昭和初期の歌壇において注目を浴び、彼はその毒舌で知られていました。彼の歌はシンプルでありながらも深い情感を孕んでおり、多くの人々に愛されました。

短歌会の創設と古典研究

1938年には、自らが主宰する短歌会の同人雑誌『藝林』を創刊し、後に59751年には日本芸術院賞を受賞します。この頃には、古典研究にも力を入れ、『大伴家持の研究』を執筆。その業績により、東京大学より文学博士の学位を取得しました。この研究は、後に多くの読者に影響を与えています。

最晩年と遺産

尾山は1963年に胆管癌で亡くなるまで、精力的に創作を続けました。彼の著作には、歌集や評論、古典の研究が多数存在し、日本の文学界に多大な影響を及ぼしました。彼が残した作品は、今なお多くの人々に読まれ、愛されています。彼の墓所は横浜市日野公園墓地にあります。

主な著書

尾山の主な著書には、以下のようなものがあります。

• - 歌集『さすらひ』（1913年）
• - 『大伴家持の研究』（1956年）
• - 短歌論『作歌法入門』（1932年）
• - 小説『影絵双紙』（1929年）

彼の作品は多岐にわたり、短歌にとどまらず俳句や評論、小説など、多様なジャンルを網羅しています。尾山篤二郎は、常に新しい表現を求め続けた詩人であり、その情熱は今日も多くの人々に受け継がれています。

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