山交百貨店

山交百貨店の歴史とその影響

概要

株式会社山交百貨店（英称：Yamako Department Store Co., Ltd.）は、かつて山梨県甲府市内に位置していた百貨店です。この店舗は甲府駅前という好立地にあり、地元の岡島百貨店と共に地域の商業の中心として営業を行っていました。国際興業グループが運営していた唯一の百貨店であり、閉店をもって同グループは百貨店ビジネスから実質的に撤退しました。

山交百貨店の立地は歴史的にも重要で、甲府城の内堀に隣接し、豊かな文化の香りを感じさせる土地でした。1954年に創業し、地域の経済活動に寄与し続けてきましたが、時代の変遷と共にその役割は変わっていきました。

創業の歴史

甲府松菱時代

山交百貨店の起源は、1937年に設立された松林軒デパートにさかのぼります。しかし、甲府市は第二次世界大戦の影響により、1945年に空襲を受けたことで、松林軒デパートは事業を一時停止しました。終戦後、甲府会館が再利用される中、松菱の創業者である谷政二郎が再度百貨店事業に投資し、1954年に「甲府松菱」として営業を再開。

この時期、松菱は岡島百貨店や中込百貨店と競合し、地元市場において存在感を示しました。1961年、国際興業グループが松菱を買収し、名称を「山交百貨店」に変更。新しい店舗が甲府駅前に移転し、地域の重要な商業施設として再スタートを切りました。

経営の変化と挑戦

山交百貨店は、1970年代から1980年代にかけて、地域経済の発展に寄与しましたが、バブル景気後の不況や市中心部の空洞化により、経営状況は厳しくなりました。1998年に甲府西武が閉店し、地域の競争が激化するなか、経営面での課題が浮き彫りになりました。

その後、山交百貨店は新会社への移行を経て、2008年に改装を実施。売上は一時回復したものの、長期的にはネットショッピングの普及や他の商業施設の進出による影響を受け、経営は厳しさを増しました。2018年度には大幅な純損失を計上し、最終的には2019年に閉店することが決定されました。

閉店の決定とその後

2019年9月30日、山交百貨店は67年の歴史に幕を下ろしました。閉店の際、従業員が店舗前に並び、店長が挨拶をするという感動的なシーンがあり、多くの地域住民がその最後を見守りました。

閉店後も法人としての山交百貨店は存続し、不動産賃貸や保険業務を続けましたが、従業員の再就職先が未決定であることが報じられ、地域の雇用状況にも影響を及ぼしました。

専門店の入居状況

閉店時点での専門店や飲食店の状況は多岐にわたり、サイゼリヤや無印良品、吉田カバン等が出店していました。その後、跡地は家電量販店のヨドバシカメラによって再開され、2021年には新たに「ヨドバシ甲府」としてオープンしました。

改装時に山交百貨店の象徴であったスパイラルエスカレーターは撤去され、地域の商業環境は新たな一歩を踏み出しました。

まとめ

山交百貨店の歴史は、地域の経済や文化の発展と密接に関連していました。その閉店は、甲府市の商業活動に大きな影響を与え、地域の活性化の重要性を再認識させるきっかけともなりました。

また、跡地の利用や新たなビジネスモデルの創出が地域の再生につながることが期待されます。

もう一度検索