岡部宿

岡部宿の概要

岡部宿（おかべしゅく）は、東海道五十三次における21番目の宿場町であり、現在の静岡県藤枝市岡部町に所在します。この宿場は、江戸時代の主要な交通路である東海道に沿って発展し、旅人や商人にとって重要な中継地でした。当時の名残が残る美しい街並みや、歴史的な文化財が魅力の一つです。

歴史と文化財

岡部宿には、隣接する鞠子宿との間に位置する旧国道1号（静岡県道208号藤枝静岡線）沿いや宇津ノ谷地区に、歴史的な街並みが現存しています。特に18世紀に再建された旅籠・柏屋（かしばや）は、国の登録有形文化財に認定されています。柏屋は昔ながらの旅館で、訪れる人々に当時の旅の雰囲気を提供しています。

さらに、岡部宿本陣址（岡部宿内野本陣史跡広場）や、内谷地区に残る旧東海道の松並木も藤枝市の史跡に指定されており、いずれも地域の歴史を物語っています。特に松並木は、旅人にとっての旅行のシンボル的な存在で、往時の景観を想起させます。

2020年6月19日には、岡部宿とその周辺にある文化財群が、文化庁の「日本遺産」に認定されました。この認定は「日本初「旅ブーム」を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅～滑稽本と浮世絵が描く東海道旅のガイドブック（道中記）～」というストーリーの一部として評価されています。

鉄道の発展と影響

明治時代になると、東海道本線の建設が開始されました。当初、岡部宿を通る予定でしたが、地形が険しい宇津ノ谷峠を避けて大崩海岸を経由することに変更されました。この結果、宿場町としての岡部宿は次第に衰退していきました。この変更には、蒸気機関車の煙や火の粉を懸念した住民が線路の設置に反対したという「鉄道忌避伝説」がありますが、当時の新聞や県の文書には反対運動の具体的な記録が見当たりません。むしろ、各宿で鉄道の誘致が積極的に行われていたことが示されています。

また、1925年には藤相鉄道が開通し、駿河岡部に至りましたが、わずか11年後には廃止されるという悲運を辿りました。このような歴史的背景から、岡部宿は現在、往時の繁栄を偲ぶ場所として訪れる人々に魅力を発信しています。

他の宿場との関係

岡部宿の隣には鞠子宿と藤枝宿があり、東海道の重要な一部を形成していました。これらの宿と岡部宿は旅行者にとって便利なルートを提供し、近隣の宿場町と連携を持ちながら発展してきました。

このように、岡部宿は歴史的な趣を色濃く残す場所であり、訪れる人々にかつての旅の楽しさや文化を感じさせる貴重な存在です。

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