川治ダム

川治ダムについて

川治ダムは栃木県日光市にあり、利根川水系鬼怒川の上流に建設された多目的ダムです。ダムは栃木県道23号川俣温泉川治線の上にあり、周辺の風景に溶け込む美しい存在です。ダムの建設は、1929年に始まった鬼怒川流域の河川開発の一環として進められ、最初の五十里ダムが1956年に完成しました。その後、流域の宅地化と農地の拡大に伴い、さらに水需要の増加が求められました。これを受けて、1968年から現在の位置に特定多目的ダムを建設する計画が始まり、1973年に実施計画調査がスタートしました。

ダムはアーチ式コンクリートダムとして設計され、高さは140メートルです。この高さは、国内のアーチ式ダムの中でも特に高く、黒部ダムや温井ダム、奈川渡ダムに次いで高いものです。川治ダムの目的は、洪水の調整や不特定利水を主とし、日光市をはじめ宇都宮市や真岡市、千葉県成田市などに上水道や工業用水、灌漑用水を供給することです。これにより、首都圏の水源として重要な役割を果たしています。

川治ダムは他の上流ダム、川俣ダムや五十里ダム、湯西川ダムと共に「鬼怒川上流ダム群」を形成しており、これらは一元的に管理されています。ダム湖は「八汐湖」と呼ばれ、この名称は地域の花である八汐ツツジにちなんで名付けられました。八汐湖の建設によって73世帯の住民は移転を余儀無くされましたが、用地補償は水源地域対策特別措置法に基づいて行われました。また、川治温泉からはダムの景観確保のため、河川維持用水の放流も行われています。

ダムは川治温泉から非常に近い位置にあり、天端からは美しい温泉街を見渡すことができます。鬼怒川温泉や竜王峡にもアクセスしやすいため、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。右岸と左岸にアクセスできる珍しいダムで、道路も整備されているため、車での訪問が容易です。右岸には資料館があり、ダムの機能や役割について学ぶことができ、売店やレストランも併設されています。八汐湖では、枯れ木が湖面に立っていることから、特に上流部が魚釣りの人気スポットとして知られています。

川治ダムに関連した作品として、バンダイナムコゲームスから発売されたWii用ゲームソフト『FRAGILE 〜さよなら月の廃墟〜』があり、作中のダムのモデルとなっています。このように、川治ダムは観光、利水、治水の機能を兼ね備えた重要なインフラであり、その美しい景観と豊かな自然は訪れる人々に深い印象を与えています。ダムの役割は単に水を貯えるだけでなく、その周辺地域の生活や観光業にも寄与しているのです。

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