廻し

廻し（まわし）について

廻しとは、相撲の競技や神事において使用される特別な被服の一種です。歴史的には、「回し」とも表記され、力士が用いるふんどしの一形態、つまり相撲褌とも呼ばれています。この被服は、絹や木綿などの素材で作られ、主として力士の腰部を覆い、身体を保護する役割を果たします。特に稽古用の廻しは、木綿や帆布等で堅く作られ、力士が転倒した際の怪我防止に寄与します。

締め方

廻しの着用は、相撲の競技において非常に重要で、慎重に取り扱われる必要があります。着用時には、心身を緊張させ、清らかな心持ちで締め込むことが求められます。一般的に補助者の手助けを受けながら、次のような手順で装着します。

1. 約6メートルの帆布を四つ折りにし、前部の袋部分を二つ折りにして陰部を覆います。
2. その後、股間を跨いで腰回りに巻きつけます。
3. 最後に後端を巻き付けて結びます。

このプロセスが疎かになると、取り組み中に廻しが解ける危険があるため、注意が必要です。

取り扱いの注意

廻しは新しいものは堅く、使用を重ねることで汗を吸い込みながら身体に馴染みます。同時に、競技者の廻しには個々の特徴が表れますが、清潔を保つために通常は洗濯をしません。特に木綿製の廻しに関しては、使用するうちに型崩れを防ぐために、原則として洗わずに新しいものに替えることが多いです。

また、着用後は泥や汗をしっかりと落とし、適切に干すことが求められます。アマチュア競技では衛生面から、簡易廻しやサポーターを併用することが一般的になっています。

積極的な使用方法

廻しは稽古や公式な取組みでもちろん使用されますが、競技者の中には装飾用の「化粧廻し」を着用することもあります。これは、土俵入りや特別な儀式の際に用いられ、華やかな図案が施されています。化粧廻しは、通常の廻しよりも多くの装飾が施され、法被（はっぴ）やエプロン状にカスタマイズされていることもあります。

廻しを用いる戦術

力士たちは廻しを利用して、相手を制するための戦略を立てます。相手の廻しを掴んで力を引き寄せたり、自身が動くことで相手の力を封じることが求められます。「ゆるふん」なる、あえて廻しを緩めに締めることで相手を不利にする戦法もありますが、これは相撲道に反するとされています。

また、廻しは緩み過ぎると、不浄負けと呼ばれる反則を引き起こす危険も隠れているため、適切な締め方が欠かせません。

歴史的背景

廻しの歴史は深く、江戸時代には観客への見栄えを考慮した化粧廻しが用いられていました。しかし、時代が進むにつれ、取り組み中に動きを妨げることから前垂が廃止され、現代の形式に進化を遂げました。この変化により、相撲の技術や戦略も進化し、廻し自体も格段に重要な役割を果たすようになっています。

廻しは、様々な素材、スタイル、色があり、力士個々の個性や道に対する姿勢を表現します。この被服は、ただの衣服以上の重要なシンボルとして相撲界では広く認識されています。

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